2010年03月30日 00:00 〜 00:00
マイケル・ソマレ・パプアニューギニア首相

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会見リポート

資源大国“不倒王”の独自外交

金山 隆一 (毎日新聞社エコノミスト編集部)

1975年のパプアニューギニア独立時の首相であり、現在5度目の就任となっているマイケル・ソマレ・パプアニューギニア首相が3月30日に来日した。同国は太平洋戦争の激戦地で、ソマレ首相は「約60年前(の戦争で)7万8140人の日本兵がわが国土に眠っている。私自身の学校の先生も当時は日本人だった」と、両国の深い関係を強調した。

日本は世界第2の貿易相手国で、新日本石油が権益を持つ液化天然ガス(LNG)開発も進行中だ。日揮と千代田化工建設がプラントを建設し、2014年には東京電力と大阪ガスに年330万㌧が供給される。

LNGの輸出は向こう30年間で、同国に1000億㌦の富をもたらす。ソマレ首相は、この資金を「インフラ整備、教育、保険分野、農村地域の生活改善に役立てたい」と語った。

832以上の言語を持つ民族と、1万あまりの島から構成されるパプアニューギニアの魅力は「文化の多様性と手付かずの自然」という。この3月末からは成田空港と首都ポートモレスビーの直行便が週2便に増便されたため、「ダイビングなど観光も楽しんで欲しい」と語った。

国家の危機や政局が混乱するたびに首相に再登板することから「不倒王」の異名を持つソマレ首相。その秘訣について「私がハンサムだからだろう」と冗談を飛ばす一方で、「常に私は政党人間で、選挙のたびに確固たる組織力で政党をつくってきた」と分析。この冷静さは、自国産天然資源の有効活用に向け、隣国豪州や中国とも等距離外交を進める姿勢にも現れている。「機は熟した」と語るASEAN加盟に向けても、「鳩山由紀夫首相にも支持をお願いした」という。太平洋島嶼国の資源大国として、独自の存在感を保ちたいとする強い意志を感じた。
 

ゲスト / Guest

  • マイケル・ソマレ / Michael Somare

    パプアニューギニア / Papua New Guinea

    パプアニューギニア首相 / Prime Minister of Papua New Guinea

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