2010年02月01日 00:00 〜 00:00
門間一夫・日本銀行調査統計局長「2010年経済見通し」

会見メモ

下記、会見詳録の末尾に、会見で使用した資料があります。


会見リポート

日本人の底力を信じる

岡田 晃 (テレビ東京出身)

門間氏は「新年経済見通し」研究会に近年、毎年登板いただいており、今年で3回目。日銀の景気判断のキーパースンである門間氏がどのような景気認識を語るのか、日銀の今後の金融政策を探る上でも注目度が集まった。

門間氏はまず、GDP統計や鉱工業生産、日銀短観など豊富なデータをもとに、この1年で景気が回復してきたことを説明した。その特徴は、①輸出の増加②自動車・家電など消費の回復③在庫調整の進展──などで、生産水準はリーマン・ショック前の8割程度まで回復している。だが同時に、ここへきて回復のペースが鈍っていることを示し、「これ以上の回復は時間がかかる。民間需要の自律的な回復力はあまり強くない」と指摘した。

こうした景気認識は日銀のこれまでの見解に沿った内容だが、本格回復時期の見通しについては「2011年ごろになるのではないか」とも発言し、かなり慎重に見ているとの印象と受けた。これは金融緩和が長引くことを意味するのだろうか。

景気の回復力が弱いのは、多くの人が先行きに希望を持てないことに最大の原因がある。このためどうしても悲観論が優勢になりがちだが、門間氏は「日本人の底力を信じる」と言い切った。日本企業には付加価値の高い製品を作る強さがあり、企業がデフレの中で価格競争から抜け出そうと前向きな努力もしている、これを金融面で支援するのが日銀の役割だと門間氏。

「金融とは将来と現実をつなぐツール。将来とは夢、つまり金融と実体経済の関係は夢をどこまで持つかという議論」と、日銀幹部らしからぬ(と言っては失礼だが)切り口で熱っぽく“夢”を語った。

今の日本に必要なのは、そのような夢を持てて元気が出るビジョン。それは政治の責任といえるだろう。

ゲスト / Guest

  • 門間一夫 / Kazuo MONMA

    日本 / Japan

    日本銀行調査統計局長 / Head of Bank of Japan investigation Statistics Bureau

研究テーマ:2010年経済見通し

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