2010年02月01日 00:00 〜 00:00
岡田克也・外相

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会見リポート

悲運の外相になる予感も

伊奈 久喜 (日本経済新聞論説副委員長)

悲運の外相になってしまうのではないか。A4版の一枚紙のレジュメを手元に、きまじめに語る姿を見て、そんな心配をしてしまった。

小沢一郎氏の代表辞任を受けて昨年5月に行われた民主党代表選挙は鳩山由紀夫、岡田克也両氏の対決となった。党内で人気があった鳩山氏が勝つわけだが、当時、世間の人気は、岡田氏がまさっていた。

世論調査によると、鳩山政権下の日米関係を心配する声は、67%に達する。責任は鳩山首相にあるのだろうが、岡田外相も逃れられない。首相候補としての影も薄くなってしまった感がある。

会見では、外相就任時に掲げた3原則にまず触れた。

①現場主義。
②今までやってきたからという議論はやめよう。原点に返って。
③国民の理解と信頼があってこそ、強い外交ができる。わかりやすく伝える必要がある。

どれも至極もっともである。だが、普天間問題をめぐる鳩山政権の迷走は、外相自身が3原則のなかで身動きがとれなくなっている現実を見せつける。

原点に返って、かつてリストから落ちた嘉手納統合案を検討した。が、現場主義にしたがって沖縄に行ってみると、嘉手納案には猛烈な反対があった。

ゼロベースの検討を強調し、「普天間のほかに選択肢がなければ、いまのままの事態もありうる」と説明すると、司会者から「それは首相が否定している」と指摘された。「総理の思いだろうが、明確に否定しているわけではない」と、わかりやすくない説明に陥る。

「18年間、野にあった。外相という職にあって、ここで完全燃焼したい」とも。悲運の外相を覚悟しているようにも聞こえた。

ゲスト / Guest

  • 岡田克也 / Katsuya OKADA

    日本 / Japan

    外相 / The Foreign Minister

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