2010年02月17日 00:00 〜 00:00
吉川元偉・アフガニスタン・パキスタン支援担当大使

会見メモ

外務省の吉川元偉アフガニスタン・パキスタン担当大使(Ambassador Motohide Yoshikawa, Special Representative for Afghanistan and Pakistan)が2010年2月17日、アフガニスタン情勢と日本の支援について話した。
「日本のアフガニスタンへの支援」(2010年1月)外務省のホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/afghanistan/pdfs/shien.pdf
1月28日に行われた「アフガニスタンに関するロンドン国際会議」の結果を踏まえながら、アフガニスタンの歴史や9.11後の情­勢を語り、「5年間で最大50億ドル」を約束している日本のアフガニスタン復興支援の仕組みを説明した。
2010年は日本・アフガニスタンの外交関係樹立80周年であり、9.11以前からの長いつながりを生かした支援についても話し­た。「アフガニスタンを知る上で参考になった10冊の本」も紹介した。
*動画は記者会見前半のスピーチです。

司会:倉重篤郎企画委員(毎日新聞)


会見リポート

息の長いアフガンとの付き合いを

粟村 良一 (共同通信論説副委員長)

アフガニスタンは戦争の泥沼から抜け出せるか。反政府武装勢力タリバンが支配を広げ、米軍はじめ外国軍に多くの死者が出ている。この1月にロンドンでアフガン支援国会議が開催。米軍が南部ヘルマンドで大規模軍事行動を開始した直後の時宜をえた会見だった。

吉川大使は①ロンドン会議とアフガンの課題②日本・アフガン関係と日本の役割─を豊富なエピソードを交えて概説した。

会議で国際社会は、末端タリバン兵士の社会復帰(再統合)を支持した。日本は5千万ドルを拠出する。強要されたり金をもらったり、さまざまな事情から戦闘に参加しているタリバン末端兵士に職を与え社会復帰させる。国民和解への一歩だ。

軍事力だけでなく民生活動の重要性を認めたオバマ米政権の新戦略と同じ方向だ。

アフガン政権の課題は、次回国際会議のカブール開催だ。カルザイ大統領が、汚職、開発などの対策を具体化して国民に約束する場となる。

日本とアフガンの付き合いは長い。1930年の修好条約署名から80年に及ぶ。アフガン人は日本に親近感をもっている。日本は60年代から水供給、結核治療、テレビ局開局など幅広く経済協力してきた。

ソ連軍撤退後のアフガンの「失われた10年」終盤に、初めて和解提案をしたのも日本の小渕外相だった。02年の第1回アフガン支援国会議の東京開催に結び付いた。ロンドン会議で、日本が5年間で最大50億ドルの支援を表明したのも、「30年代からの長いつながりから出てきたものだ」という。

米欧では厭戦論が強まり焦燥感が世論に表れている。だが「息長くアフガニスタンを理解してつきあっていくのが日本の外交だ」という吉川大使の言葉から、アフガン和平で日本が重要な役割を果たしているという自負と強い責任感が読み取れた。

ゲスト / Guest

  • 吉川元偉 / Motohide YOSHIKAWA

    日本 / Japan

    アフガニスタン・パキスタン支援担当大使 / Special Representative for Afghanistan and Pakistan

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