2010年02月02日 00:00 〜 00:00
エリ・カタビラ・国際エイズ学会次期会長/ペドロ・カーン前会長

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会見リポート

普遍的アクセスの早期実現を

宮田 一雄 (産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)

20世紀後半から人類の前に次々と現れた未知の感染症の中で、エイズは唯一、パンデミック(世界的流行)となった新興感染症である。

この大流行に立ち向かうべく、国際エイズ学会(IAS)には世界の医学者や政治指導者、社会、経済学者、NGOの活動家ら幅広い分野の専門家1万4000人が加盟している。隔年開催の国際エイズ会議の参加者は2万5000人に達し、保健分野最大の会議としても有名だ。

ウガンダのマケレレ大学医学部教授であるエリ・カタビラ博士(左)は今年7月、ウィーンの第18回国際エイズ会議でIAS会長に就任する予定で、IAS初のアフリカ出身の指導者が誕生する。

エイズの病原ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している人は現在、世界で3400万人と推定され、70%がサハラ以南のアフリカに集中している。カタビラ博士は「先進国のHIV陽性者は抗レトロウイルス治療(ART)の普及で長く生きていくことが可能になっているのに、途上国では治療を受けられずに亡くなる人がまだたくさんいる」と指摘した。

途上国でARTを受けている人は現在、約400万人で、5年前に比べると10倍に増えている。だが、それでも緊急に治療を必要とする人の40%にとどまっており、それを100%にする普遍的アクセスの実現がIASの大きな目標だ。

一方、アルゼンチンの著名な医師であるペドロ・カーン博士は、ARTの早期開始が治療を受ける人を救うだけでなく、体内のウイルス量の減少で社会的に感染を抑止する効果も期待できると述べ、早期の検査によって治療の普及が進むことの重要性を予防の面からも強調した。

ゲスト / Guest

  • エリ・カタビラ / Dr. Elly Katabira

    ウガンダ / Uganda

    国際エイズ学会次期会長

  • ペドロ・カーン / Dr. Pedro Cahn

    アルゼンチン / Argentina

    前会長

研究テーマ:HIV/エイズ

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