2010年01月27日 00:00 〜 00:00
谷垣禎一・自民党総裁

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会見リポート

150日の野党・自民党

髙橋 利行 (読売新聞出身)

半世紀余にわたって、事実上、政権交代がなかったこの国では、政権にありついた政党も身過ぎ世過ぎが難しいが、寒風吹きっさらしの野党に陥落した身も、なかなか新しい環境に慣れないようである。鷹揚に構えていれば「与党惚け」と罵られるし、やたら噛みついても「弱い犬ほどよく吠える」とからかわれる。

まるでつけいる隙のなかった衆院選直後ではなく、鳩山政権に意外に早く綻びがみえる時だけに、谷垣氏がどう復権をリードしていくのか大いに期待される会見になった。

谷垣氏は(1)鳩山首相が4年間は手を付けないとしている消費税に切り込み、福祉目的税として10%以上の引き上げが必要(2)夏の参院選で、定年(比例選)を上回る年齢の候補を公認するかしないかには「ルールをつくったからには基本的に重んじるべき」と踏み込んだ発言をした。

参院選をにらんで少しでも若返りを図りたい思いは分かるが、デフレの中で「消費税」提言は、長い間政権を担ってきた党らしい矜恃といえ、むしろ野党に転落したせいでいいやすくなったのだろう。

野党の姿勢を問われると「野党になることだってあるんだとドカッとしていることが一番大事だ」と、当分冷や飯を食い続ける覚悟を表明した。自民党は、細川、羽田内閣で10カ月間野党を経験した。だが村山内閣をつくることですぐ返り咲いたことが「いまにして思えば野党が短すぎた」(野中広務氏)ともいわれる。いつでも政権を取れるという思い上がりにもつながり、抜本的な体質改善ができなかった反省なのかも知れない。

このままでは再度の政権交代は望み薄である。谷垣氏の真摯な応答は買うにしても、学者のような解説だけでは政権奪還はおぼつかない。永田町を坩堝に投げ込むような「気迫」と「決め球」が欲しかった。
 

ゲスト / Guest

  • 谷垣禎一 / Sadakazu TANIGAKI

    日本 / Japn

    自民党総裁 / Chief , Liberal Democratic Party

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