2010年01月08日 00:00 〜 00:00
勝間和代・経済評論家「2010年経済見通し」

申し込み締め切り


会見リポート

紙幣の流通を増やせ!

今井 純子 (NHK解説委員)

「デフレは、ボーリングで言う“一番ピン”。そこを倒す政策をとらないと、日本経済をとりまく問題は解決しない」


「カツマー」と呼ばれる多くの信奉者を生み出した勝間氏。「日本を変えるため」に今回、取り上げたテーマは、「反デフレ」だ。

政府が10年以上取り組んできてなお解決できずにいる超難問にどう取り組むのか。勝間氏は「答えは簡単。“紙幣の流通を増やせ!”以上。」と言い切った。コアコアCPI(食品・エネルギーを除く)で2%程度のインフレ目標を政府・日銀共同で掲げ、達成できなければ、総理大臣や日銀総裁が辞めると公約する。日銀の独立性などと言っている場合でない。日銀が、国債や株式などを大量に買い上げ、一方、政府は国債を発行した財源で若者・少子化対策、教育など、将来の成長につながる投資にまわす。そうすれば、円安になり、企業は輸出で潤う。リスクをとって投資をするようになるし、雇用も賃金も増えると、勝間氏は言う。

論点を絞って、歯切れよく語る勝間氏の話は、素人にもわかりやすい。しかし、ことはそう単純ではない。企業が、新興国のボリュームゾーンをめざして海外への投資を加速させている中、多少円安になったとしても、日本で投資や雇用が増えるのかは疑問だ。将来が不安ではカネを配っても家計はため込む。勝間氏が言うように、一年でデフレから抜け出せるのか。副作用の大きさを考えても勝間氏の意見には異論が多いだろう。

しかし、デフレを放置するわけにもいかない。勝間氏は、日本の経済政策をめぐっては、事実や統計に基づく議論が欠けていると指摘した。うなずける点もある。勝間氏の指摘もふまえ、今後、さらに広く議論が活発化し、実行に移されるよう期待したい。

ゲスト / Guest

  • 勝間和代 / Kazuyo KATSUMA

    日本 / Japan

    経済評論家 / Economic Critic

研究テーマ:2010年経済見通し

ページのTOPへ