2009年11月30日 00:00 〜 00:00
クリフ・コルテズ・国際開発庁HIV/エイズアジア地域責任者

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会見リポート

エイズ対策分野の支援強化に意欲

宮田 一雄 (産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)

オバマ米政権は途上国のエイズ対策を開発援助政策の大きな柱として掲げている。エイズの病原ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染拡大が懸念されるアジアで、ブッシュ前政権時代から引き続きエイズ対策を牽引するコルテズ氏から、米国のエイズ政策の全体像を説明してもらった。

コルテズ氏によると、米国は2003年に5年間の大統領緊急エイズ救済計画(PEPFAR)を発表してアフリカなどの途上国でHIV/エイズ分野の治療・ケア・予防の普及に力を入れてきた。ブッシュ政権末期の昨年夏には、さらに5年間の第2次PEPFARが承認され、他の保健課題とエイズ対策を統合させた支援にも取り組んでいる。

オバマ政権も第2次PEPFARを引き継いでおり、クリントン国務長官が開発を外交、安全保障と並ぶ国際政策の3本柱と位置づけていることから、一段と充実強化がはかられている。03年以降、PEPFARを通した米国の資金貢献は250億ドルに達し、一つの疾病に対する一カ国の貢献としては世界史上、最大の規模になるという。

国連の最新報告書では、世界のHIV陽性者数は過去最高の3340万人に達し、年間の新規感染者数は270万人、エイズによる死者数は200万人と推計されている。人類はいままさに、重大な感染症のパンデミック(世界的大流行)に直面していると言わなければならない。

新規感染者数や死者数は21世紀に入り、減少傾向にあるのだが、それでも全体のHIV陽性者数は増えている。新規感染が年間の死者数を上回っているからだ。エイズの流行の拡大を止め、縮小へと転じるという目標はいまなお実現困難だが、その一方で、エイズ対策への集中的投資が途上国の保健基盤全体の強化に大きく寄与しているというデータもある。会見でコルテズ氏がこの点を強調していたのも印象的だった。
 

ゲスト / Guest

  • クリフ・コルテズ / Clif CORTEZ

    アメリカ / USA

    米国国際開発庁HIV/エイズ アジア地域責任者 / Person in charge of Asian Area HIV/AIDS,USAID

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