会見リポート
2009年11月19日
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岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長
会見リポート
感染拡大、思いやりで防ごう
辻村 達哉 (共同通信編集委員・論説委員)
医学と社会の橋渡し役も務める人だけに、つぼを押さえた講演だった。まずインフルエンザウイルスの感染経路は、くしゃみやせきのしぶきによる「飛沫感染」が中心。飛行機では、隣に患者がいるのでなければ、気にしなくてもよさそうだ。
患者の飛沫に触れた手を介してうつる「接触感染」という経路もある。予防には「マスク・手洗い・うがい」が有効とされるものの、どの効果もきちんとした証明はない。
患者は症状が収まってもウイルスを出し続けるので「解熱後2日間」か「発熱後1週間」のうち長い方を選んで休む。外出時は、ほかの人にうつさないようマスクをつける。
「季節性インフルエンザがこの冬も流行するかどうかは分からない。高齢者は季節性ワクチンを接種しておいた方がいいでしょう」
新型に対する免疫は1917年以前に生まれた「超お年寄り」でないと期待できない。新型用ワクチンは季節性インフルエンザ用ワクチンと同等の効果が期待できるという。
わたしたちは新型が出現した春以来、「せきエチケット」など個人レベルの対策が重要だと繰り返し伝えてきた。しかし混雑した車内で口を覆わずにくしゃみやせきをする人をいまだに見掛ける。
車内で隣にいる人は健康そうでも、その人の身近に妊婦などインフルエンザで重症になりやすい人がいるかもしれない。「感染症は皆で防ぐ、人のことを思いやるという考えが必要です」。小児科医でもある岡部さんの温かい呼び掛けをもっと世の中に伝えていきたい。
ゲスト / Guest
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岡部信彦 / Nobuhiko OKABE
日本 / Japan
国立感染症研究所感染症情報センター長 / Head,IDSC
研究テーマ:新型インフルエンザ