2009年11月09日 00:00 〜 00:00
加藤秀樹・行政刷新会議事務局長

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会見リポート

事業仕分けの“哲学”

倉重 篤郎 (毎日新聞論説副委員長)

そのニコニコと笑みを絶やさず、ゆっくりと優しい口調で語りかける細身、小兵の加藤氏。霞が関の海千山千、ああ言えばこう言う、したたかな官僚たちを相手にどこまで闘っていけるのか。その回答は、記者会見で半分聞けたが、残り半分はその仕事の結果を見るしかないだろう。

加藤氏は丁寧に「事業仕分け」の哲学と具体的な作業工程を語った。事業を「現場の視点で洗い直す」ことを強調、「そもそも必要かどうか」「必要ならどこがやるか」「官か民か」について、「外部の視点で」「公開の場において」行うとの段取りをチャート図に基づいて説明してくれた。

特に言いたかったのは次の点だろう。「個々の事業が無駄かどうかにとどまらず、その背後にある制度や国、地方の関係など行財政全体の改革に結びつけたい」。要は、カネ目を削るのが目的ではなく、組織、制度まで踏み込んだ行政組織の改編が重要だという。「無駄削減はむしろ副産物と考えてます」とも述べた。

とはいうものの、鳩山政権の要請は、95兆円まで膨らんだ各省の財政要求をいかに削るか、その削減額であることも事実。加藤氏もそのへんは先刻承知の体であったが、その目標金額、見通しについては、最後まで明言を避けた。

それにしても、聞けば聞くほど大変な作業であることは伝わってきた。会場からは、必要と認定され、さらに国から地方に移管されるのが適当とされた事業については、財政的な裏付けをどうするか、といった実務上の質問や、本来議会がやるべき仕事ではないのか、といった根本的な疑問が発せられた。

ゲストブックへの揮毫はやはり「必殺仕分け人」。加藤氏の健闘を期待する拍手が送られた。

と、ゲラチェック段階で仕分けが終了。「高い透明度」「人民裁判」と賛否あれど、政権浮揚の劇場効果は満点でした。
 

ゲスト / Guest

  • 加藤秀樹 / Hideki KATO

    日本 / Japan

    行政刷新会議事務局長 / Secretary-General,Government Revitalization Unit

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