2009年10月30日 00:00 〜 00:00
ジョン・キー・ニュージーランド首相

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会見リポート

最大の関心はEPA/FTA締結

坂口 智 (朝日新聞外交・国際グループ)

ニュージーランドでは、2008年11月の総選挙で国民党が勝利して政権交代があった。9年ぶりに労働党から政権を奪回した立役者のキー首相が今回、日本政府の公式実務訪問賓客として、就任後初来日した。

キー首相は、投資銀行家としての経歴が長く、経済問題に強い。会見の冒頭で「自分の政権の焦点は経済成長にある」と言い切った。日本との関係で、最大の関心は経済連携協定(EPA)または自由貿易協定(FTA)の締結にある。

鳩山由起夫首相との首脳会談でも、この件を提起し、長い時間を費やして話をしたという。同首相によると、鳩山首相の反応は「積極的だった」というが、日本側の説明では、「乳製品や牛肉等、我が国にとりセンシティブな品目の比重が高いという面を指摘し、EPA/FTAには慎重な日本の立場を説明した」とある。どう見てもこれは「消極的」な反応であろう。

キー首相は、ニュージーランドが小国であることや、季節が反対なので日本の農産品との競合を避けられることなどを挙げ、「日本の農業への脅威にはならない」と強調した。だが、民主党は、衆院選前に、日米FTAについて、マニフェストの表現を「締結」から「交渉を促進」に変更した。農村票は、民主党にとって貴重な支持層となりつつあり、農産品に影響が予想される米、豪、ニュージーランドなどとのEPA/FTAで政治的決断を行うことは、自民党政権時代以上に難しいのではないか。

なお、キー首相は、非核政策には変更がないと言い切った。国民党内には、非核政策を見直し、米国との同盟関係復活を望む声もあるようだが、内政上はマイナスにしかならないとみられる。
 

ゲスト / Guest

  • ジョン・キー / John Philip Key

    ニュージーランド / New Zealand

    首相 / Prime Minister

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