2009年10月27日 00:00 〜 00:00
ヤン・ペーター・バルケネンデ・オランダ首相

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会見リポート

「欧州の顔」有力候補の自負

安藤 徹 (東京新聞論説委員)

徳川幕府が公式にオランダとの通商を認めてから今年で400年。初来日の会見は日蘭の友好促進が中心になるはずだったが、いささか違った。

欧州連合(EU)初代大統領(常任議長)の有力候補として名前が取りざたされるさなか。リスボン条約発効、大統領選挙の見通しなど、質問はむしろEU問題に集中した。

「誰が大統領になるのか、誰にもわかりません」「大国出身者がなるのか、小国出身者か、それはたいした問題ではありません」

自身に関わることはさらりとかわしながらも戦後、自国を含む6カ国で発足、半世紀余を経て27カ国に拡大したEUの将来像となると自ずと熱い口調になった。

「重要なことは、欧州議会、欧州委員会、欧州理事会をどう調整していけるか、という点です」「環境問題から安保政策まで、今やEUが抱えている問題は多岐にわたります」「リスボン条約も、拡大するEUを効率的、透明にするのが目的ですから」

早口で精力的な話しぶり。46歳で首相に就任して以来すでに7年、言外に次世代のEU指導者としての自負がにじむようだ。

「日蘭関係についてもしゃべらせてください」。会場の笑いを誘いながら披露した滞在中の主要行事は、皇居訪問、鳩山首相との会談、相互の投資促進、イノベーションに関する各種会合など。蘭学に通じていた福沢諭吉創建の慶応大学では名誉博士号を受け、記念講演も。

その講演では、横浜の保土ヶ谷墓地を訪れ第二次大戦中のオランダ兵犠牲者の墓に献花した話も紹介、日蘭関係の負の面にも触れた。

オランダから「欧州の顔」が生まれるか否か。その動向からしばらく目が離せそうにない。
 

ゲスト / Guest

  • ヤン・ペーター・バルケネンデ / Nl-Jan Peter Balkenende

    オランダ / Netherland

    首相 / Prime Minister

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