2009年10月20日 00:00 〜 00:00
藤井裕久・財務相

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会見リポート

経済あっての財政を説く最長老

小松田健一 (東京新聞経済部)

鳩山内閣最長老の77歳。しかし、年齢を感じさせないエネルギッシュな行動は、後輩である財務官僚たちも舌を巻く。まず、自身は財政健全化主義者だと前置きし、際限なき財政出動に否定的な立場であることを強調。その上で「経済あっての財政。財政あっての経済ではない」と持論を語り、昭和恐慌以来とも評される経済危機には、それに応じた対応が必要だと述べた。

財務省の使命は「基本に流れる考え方は資源配分をどうするかだ。その資源を作るのは皆さん方」と、論旨は明快かつ分かりやすい。給付付き税額控除と、その前提になる納税者番号制度の導入を提唱し、低所得層に配慮した税制へ改めていく考えを表明。自公政権下で広がった所得格差を是正し、貧困を解消できるかが鳩山内閣に与えられた重要な使命、と自覚しているように感じた。

冷静な語り口が、一度だけ熱くなった。子ども手当などマニフェストの目玉政策が「ばらまき」と批判を受けたことへの反論だ。「ばらまきは大嘘。経済運営の構造が変わっている」と、経済成長が大型公共投資と過度の輸出依存で成り立っていた時代ではない、と説いた。

概算要求規模が95兆円余りにふくらんだ2010年度予算編成への取り組みにも言及した。「92兆円よりも切らなければいけない」と、査定には厳しい姿勢で臨むと宣言。一方で、国債発行額は「麻生内閣の44兆円よりも減らす」。税収見通しが厳しい中で、政策実現、財政規律の維持、歳入確保の並立という困難な方程式に挑むことになる。

官僚出身者にありがちな堅苦しい言葉はなく、分かりやすく噛み砕いて伝えようという姿勢が伝わってきた。予算は政権の思想そのものだ。鳩山内閣が発信するメッセージは、国民にどう響くのだろうか。

ゲスト / Guest

  • 藤井裕久 / Hirohisa FUJII

    日本 / Japan

    財務相 / Minister of Finance

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