2009年10月14日 00:00 〜 00:00
亀井静香・郵政改革・金融担当相

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会見リポート

自信満々で勝ち誇るが

滝田 洋一 (日本経済新聞論説副委員長)

発言と質疑応答を通し立ち詰めの1時間、自信満々の記者会見だった。熱を込めて語ったのは、金融担当相として提唱したモラトリアム(債務の返済猶予)についてである。

「日本の金融は毛細血管にまで血液が回らない状況。行かなくてもいいところに血液がどんどん流れている」。そうした問題意識から、中小・零細企業向けの返済猶予の法案作りを思い立ったと述べ、「決して貸借関係そのものを遮ろうとするものではない」と強調する。

モラトリアムというギョッとさせる言葉を使いみんなの関心を集めつつ、返済を猶予する融資に信用保証制度を活用したり、返済猶予で焦げ付きに見舞われた金融機関には公的資金を注入する。そんな落とし所も心得ている。

返済猶予問題にばかり世間の注目が集まっている。が、亀井氏が狙うのは、ともかく銀行の健全性を重視した竹中平蔵金融相時代の銀行検査指針を、借り手に配慮して緩める方向に見直すことだろう。「小泉、竹中時代の金融行政とはスパッとおさらば。不本意な人は辞表を出して欲しいといったが、今日まで誰も出していない」。勝ち誇った仕草をみせた。

郵政担当相として、郵政の経営問題については「以前の状態(国有化)に戻す気は全然ない」と語った。「北海道から沖縄まで張り巡らされた郵便局のネットワークは国民的財産」としたうえで、「介護や年金業務の拠点に郵便局を使うことが考えられる」という。

「地方で集めた郵政のカネで国債や米国債を買うばかりではいけない。地域社会にカネをどう使うか」とも。気がかりなのは、一連の亀井流の手法が日本経済の不効率な部分への「追い貸し」になりはすまいか、という点だ。「一人でも困った人がいれば、助けに行くのが政治家の使命」と述べたが、それは政治家ではなく宗教家の仕事ではあるまいか。

ゲスト / Guest

  • 亀井静香 / Shizuka KAMEI

    日本 / Japan

    郵政改革・金融担当相 / Minister for Postal privatisation,Financial Services

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