2009年09月02日 00:00 〜 00:00
田中秀征・福山大学客員教授

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会見リポート

「本格」政権の重大な使命

川上 高志 (共同通信編集委員兼論説委員)

歴史的な8・30政権交代選挙から3日後。「総選挙後の日本」シリーズ第1弾の講演は、「鳩山政権」の意義と課題を浮かび上がらせる、示唆に富む内容だった。

1993年の細川連立政権の中枢にいた田中氏は、当時と今回を比較し、共通点より相違点が多いと指摘。鳩山政権の「使命」の重大さを強調した。

相違点の一つは、93年は準備のないまま政権が交代したが、今回は十分な準備期間があったこと。二つ目は、背景にある「政治不信」の原因が、前回は「政治腐敗」だったが、今回は「統治構造の劣化」というより深刻な問題であるということだ。
そのため鳩山政権に求められるのは、「政治改革」だけで結集した細川政権のような「特命政権」ではなく、山積する政治課題全般に、中長期のビジョンを示しながら取り組む「本格政権」になるということ。そして「劣化した統治構造」を立て直すため「明確な政治姿勢を示す」必要があると述べた。

鳩山政権にその重い責務が果たせるか。田中氏は、その鍵は逆に93年との共通点にあるとの見方を示した。それは中心にいるのが小沢一郎氏だということだ。

鳩山・小沢関係は「個人的には極めて良好」との見方を示すと同時に、「世論に基盤を置く鳩山」と「組織を重視する小沢」の違いも指摘。判断基準の違いが政策判断の違いに表れる可能性があると政権のアキレス腱に触れた。

「小沢氏は細川政権の経験をしっかりと学んで、鳩山首相の方針を最大限尊重する方針で臨んでほしい」と注文を付け、小沢氏が政権を支える役割に徹すれば「尊敬する大久保利通を上回る歴史的事業を成し遂げることができる」と述べたのは、危惧の念も含みながら、鳩山・小沢体制に期待感を示すメッセージと聞いた。

ゲスト / Guest

  • 田中秀征 / Shusei TANAKA

    日本 / Japan

    福山大学客員教授 / Guest Professor, Fukuyama University

研究テーマ:総選挙後の日本

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