2009年09月09日 00:00 〜 00:00
榊原英資・早稲田大学教授

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会見リポート

財政赤字より「鳩山不況」に警鐘

小此木 潔 (朝日新聞論説副主幹)

「民主党のサポーターとして」とことわった上で、鳩山政権の政権運営への注文をざっくばらんな口調で語り、聴衆を楽しませた。

「いまの景気は二番底になる可能性がかなり高い」とし、「これは何年かたつと『鳩山不況』だなんて呼ばれる可能性もある」と警鐘を鳴らし、今後一カ月ぐらいの間に景気対策を打つべきだ、と力を込めた。

子ども手当など民主党の政策の財源確保に疑問を呈したり、財政赤字の拡大を心配するようなメディアの論調が目立つことについては「マクロ政策を理解していない暴論だ」と、ばっさり。

榊原氏の目には、そうした議論は金庫番の論理という物差しだけで経済を測っているにすぎないと映っているようである。

麻生政権がつくった危機対策としての補正予算を減額すれば「経済はめちゃくちゃになる」といい、財源にばかりこだわるのは「全く無責任な議論」「責任感の仮面をかぶった経済学の無理解であり、経済政策の無理解だ」と、榊原節は全開。なんだか米国のクルーグマン教授のような論調に。

日本の財政は危機的な状況にはなく、個人金融資産1400兆円からすれば国債を「あと50兆とか100兆出してもどうってことない」と景気優先を説き、無駄の削減は4年間でやればいいと述べた。

政治主導を確立するには「各省の設置法を廃止すべきだ」。そして「厚生労働省のかなりの部分を地方自治体に移していい」「文科省の権限も相当に分権したら」と、大胆な発言は止まらない。

国家戦略局の仕事に就くつもりはあるかとの質問には「そういうオファーがあれば考えてみたいが、実際に(物事を)動かせない立場なら、野にいて意見を言うほうが影響力がある」と煙に巻きながら、エネルギッシュな会見を締めくくった。

ゲスト / Guest

  • 榊原英資 / Eisuke SAKAKIBARA

    日本 / Japan

    早稲田大学教授 / Professor, Waseda University

研究テーマ:総選挙後の日本

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