2009年08月04日 00:00 〜 00:00
中田宏・横浜市長

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会見リポート

腑に落ちない任期満了前の辞任

中西 晴史 (日本経済新聞編集委員)

突然の横浜市長辞任表明から1週間後というクラブ側の想定外の事態での記者会見。辞任の弁が主テーマとなった。なぜ2期目の任期満了半年前に辞任するのか。レームダック、骨格予算編成による行政の停滞、衆院選挙との同日選に伴う選挙経費削減などを理由にあげた。米大統領選で共和党副大統領候補にもなったアラスカ州のペイリン知事の辞任表明文を読み上げながら「わが意を得たり」と力を込めたが、今ひとつ腑に落ちなかった。

2期目は横浜発の新鮮なニュースが乏しく、逆に町田市長選に絡んで中田氏自らも処分の対象になるなど、芳しくない話も目立った。国政への復帰を目指して衆院選に出馬するわけでもなく、歯切れのよい明快な語り口とは逆に、辞任には別の理由があるのではないかとの邪推が頭から離れなかった。

興味深かったのは行政風土の改革の難しさを訴えたくだり。「カネも出世もいらない。午後5時には帰りたいという人がいっぱいいる組織を引っ張るのは容易ではない」と嘆いた。市長が「市民サービス向上に向けてがんばろう」と檄を飛ばし、マスコミも批判すれば改革できるのなら「もう何十年も前に実現していた」と。「根性論ではなく仕組みに焦点を当てないといけない」と指摘。人事考課の導入、主任などの肩書きの廃止など改革の数々で労組と対決した「実績」を示した。延長保育もほとんどない市営保育所の中には定時退庁の公務員の子どもが8割を占め、公務員による公務員のための「逆リンカーン」型の保育所もあったと批判、民営化を進めたという。

ただ、「正論が勝っても、理屈でないところで仕返しされ、週刊誌をにぎわすことになる」とも。失礼ながら最後っ屁の会見とも聞こえた。

ゲスト / Guest

  • 中田宏 / Hiroshi NAKADA

    日本 / Japan

    横浜市長 / the Mayor of Yokohama

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