2009年08月24日 00:00 〜 00:00
渡辺将人・ジョージ・ワシントン大学客員研究員

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会見リポート

六つの顔を持つ男

近藤 順夫 (共同通信編集局次長)

「ある時は画家…、ある時はインドの魔術師…、しかしてその実体は」。片岡千恵蔵主演の往年の映画シリーズ、探偵多羅尾伴内の「七つの顔の男」ではないが、オバマ米大統領には「六つの顔」があるという。

米民主党の選挙プロセスにかかわり、オバマ陣営の内情に詳しい渡辺氏によると、オバマ大統領は①帰国子女②混血③文人④コミュニティー・オーガナイザー⑤憲法学者⑥脱党派─の性格を持っている。

日本での「オバマ本」ブームは下火になったが、米国では今もオバマ関連の本が続々と出版され、いろいろな角度からの研究が進んでいる。米国人ですら、圧倒的な支持で選ばれた指導者がどんな人間なのかまだ分からないのが実情のようだ。

東京の民放テレビで政治部記者として活躍したことがある渡辺氏は、その経験を生かしたフットワークで、オバマ大統領の知人らを直撃。「彼を黒人だと意識したことはない。いつから黒人になったんだろう」(ハワイ時代の友人)「作家になるのだと思っていた。政治家になってびっくりした」(コロンビア大学のルームメート)…。

渡辺氏は集めた証言を「興味深かった」と振り返る。「生オバマ」を知る人たちには、それぞれの「オバマ像」がある。彼らには「黒人初の大統領」というとらえ方はピンとこないだろう。

政治家でなければ大学教授、そうでなければ詩人になっていたかもしれない。結構いいかげんな生き方とも言えるが、その時々に多面的な才能を発揮したのがオバマ氏、と理解した方がよさそうだ。大統領になってからは、思ったほどリベラルではなく、現実主義者の印象が強い。

スピーチが感動的なのも六つの顔があるからか。聴衆の心とシンクロするように、オバマ演説には歴史や民族とかかわる多様な人生体験がちりばめられている。
 

ゲスト / Guest

  • 渡辺将人 / Masato WATANABE

    日本 / Japan

    ジョージ・ワシントン大学客員研究員 / Guest Researcher, George Washington University

研究テーマ:オバマのアメリカ

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