2009年07月28日 00:00 〜 00:00
エドワード・ライス・在日米軍司令官

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会見リポート

日米同盟がもたらす利益とは

油井 秀樹 (NHK国際部)

「在日米軍の再編計画は極めて重要な合意だ。新たな脅威に備えなければいけない」─在日米軍のライス司令官の発言からは、日本とアメリカが3年前に合意した在日米軍の再編計画を着実に実行しなければならないという並々ならぬ決意を感じた。衆議院選挙を間近に控え、政権交代もささやかれている時期だけに、再編計画の見直しにも言及する民主党をけん制する意味合いもあったのだろう。

ライス司令官は、新たな脅威として、テロや大量破壊兵器の拡散だけでなく、天然資源をめぐる争いを指摘。将来に備えて再編計画を実行することこそが、米軍の作戦に柔軟性をもたらすとともに、沖縄などが抱える基地負担の軽減にもつながると強調した。北朝鮮の核やミサイル、中国の軍備増強など、在日米軍司令官にとって安全保障上懸念すべき問題も多々あるだろうが、本人は「再編計画こそが最大の課題だ」と言う。「再編計画は全員が満足する合意ではないかもしれないが…」。司令官の言葉からは地元住民の理解が得られず計画が頓挫しないかという不安がにじみ出ていた。

ライス司令官のこの日の発言で最も印象的だったのは、「良い同盟関係を築くためには、双方に大きな利益をもたらさなければいけない」という言葉だ。明確な利益がなければ再編計画は実行できないし、同盟も続かない。だが、日米の国民は、今、日米同盟から大きな利益を得ていると感じているだろうか。来年は、日米安全保障条約が締結されて50周年。さらには、オバマ政権になって初のQDR(4年に1度の国防計画の見直し)の年にもあたり、在日米軍のあり方について再び議論が高まるだろう。日米同盟の意義を私も検証したいと思っている。

ゲスト / Guest

  • エドワード・ライス / Edward Rice

    アメリカ / USA

    在日米軍司令官 / Commander, U.S.Forces in Japan

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