2009年07月10日 00:00 〜 00:00
鳩山由紀夫・民主党代表

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会見リポート

一瞬のぞかせたひそかな野心

清水 真人 (日本経済新聞編集委員)

「民主党が描く政権の姿をお示しできれば」と勢い込んで切り出した。

オバマ米大統領の「チェンジ」など世界的潮流に乗る「政権交代の必然性」から説き起こし、持論の「友愛」の理念、恒久財源17兆円を要する衆院選マニフェスト(政権公約)の骨格など練り込んだ語り口。所信表明演説の予行演習並みだった。

新政権マネジメントの指針とも言える「鳩山3原則」が新機軸だった。

第1は内閣が与党を懐に取り込む政策決定の一元化だ。法的権限のない与党首脳が実権を持ち、官僚が根回しに歩くのをやめて「閣僚、副大臣、政務官ら内閣に入った政治家が政治的調整をやる鉄則」を明言した。

第2は内閣の各省縦割りを排し、首相官邸主導を徹底すること。経済財政諮問会議をなくし、司令塔として「国家戦略局」を新設、官民の人材を募って予算の骨格作りや国家ビジョン策定を担わせるとした。

第3は官僚依存から政治主導への転換だ。「官僚叩きや責任の押し付けはしない」現実路線と「政治家の責任」を強調。形骸化した閣議の見直し、テーマごとに少人数の閣僚で政策を詰める英国流の「閣僚委員会」を活用する構想も打ち出した。

目を引いたのは「細川連立政権の過ちを繰り返さない」を力説した点だ。当時は7党1会派の寄り合い所帯。全党首が入閣した内閣より、各党幹事長級の与党代表者会議が事実上の最高意思決定機関だった。ここを拠点に権勢を振るった「GHQ」こそ小沢一郎前代表その人だった。

それを「失敗」と断言。内閣主導の政権運営を掲げた半面で「小沢氏には必ずしも閣僚になってもらおうと考えているわけではない」とも付言した。首相になれば政策決定の主導権は譲らない。一瞬、のぞかせたひそかな野心。果たして貫けるか。

ゲスト / Guest

  • 鳩山由紀夫 / Yukio HATOYAMA

    日本 / Japan

    民主党代表 / Representative, DPJ

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