2009年07月03日 00:00 〜 00:00
松澤祐介・西武文理大学専任講師

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会見リポート

東欧経済 西欧の景気回復次第

栢 俊彦 (日本経済新聞編集委員)

東欧・バルトの経済がきな臭い。

ラトビアやハンガリーの経済危機が一段と深刻になれば、こうした諸国に貸し込んでいる西欧や北欧の銀行が経営難に陥り、金融危機が再び欧州全体に広がるのではないかと懸念されている。

東欧・バルトで何が起きているのか、日銀出身の松澤西武文理大学専任講師が現状をまとめた。

東欧・バルトと一口に言っても、経済の悪化度合いはまちまちだが、危機に陥っている国には共通点があるという。経常収支が長年大幅な赤字であること、金融機関は外資系が支配的であること、欧州連合(EU)に加盟前後から外資が大量に流れ込み不動産バブルが発生したこと、外貨準備高に比べて外貨建ての短期債務が多いことなどだ。

2007年まではこの状態で高成長を満喫したものの、リーマンショックで西欧の金融機関がリスクに敏感になると途端に資金繰りに窮した。そのうえ、自国の通貨をユーロに連動させている国が多く、その場合外資が資金を引き揚げたからといって、中銀が自由に金融政策を発動できない悩みも共通していた。

これだけ聞いていると、単に浮かれ過ぎだったのではないかと言いたくもなる。しかし、松澤さんは東欧・バルトを責めることができるだろうかと問う。ベルリンの壁崩壊、旧ソ連の崩壊を経て社会主義の軛を脱した各国は共産党支配下で失った豊かな日々を取り戻そうと必死だった。ようやくEU加盟を果たし、次はユーロ圏入りを夢見た。その間に起きた国内景気の過熱をバブルだと警戒するには経験が少なすぎた。

ラトビアやハンガリーでは今、国際通貨基金(IMF)の管理下で耐乏生活が始まっている。今後の経済見通しについて「西欧の景気回復次第」と語った時、松澤さんは新興国の辛さを共有していた。
 

ゲスト / Guest

  • 松澤祐介 / Yusuke MATSUZAWA

    日本 / Japan

    西武文理大学専任講師 / Full-Time Teacher, Bunri University of Hospitality

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