2009年06月26日 00:00 〜 00:00
峰久和哲・朝日新聞編集委員

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会見リポート

世論調査は政権交代を暗示

田﨑 史郎 (時事通信解説委員長)

報道機関が行う世論調査の結果が今ほど、政治に影響を与えることはなかった。支持率が党首の進退に直結し、まるで「世論調査政局」だ。

世論調査、その報道に関する実績と分析力、見識において、峰久さんの右に出る人はこの業界におそらくいまい。

彼は囲碁六段。政治家と打つとき、与謝野馨財務相が二目、小沢一郎民主党代表代行が四目置くというのだから、相当な腕だ。その囲碁で鍛えたのだろう、思考が相当に緻密だ。

峰久さんによると、世論調査の主流となっているRDD方式は小泉内閣発足(2001年4月)前後から飛躍的に普及。その背景には、それまでの面接調査に比べ費用が10分の1で済む安さや、迅速性、外注化があるが、米国ではその精度が疑われ始めているという。

興味深かったのは、最近の調査対象者の傾向だ。RDDを始めた頃、安全保障、経済など難しい質問には考え込まれ、調査に時間がかかった。ところが、最近はどんな難しい質問にも「ほとんど即座に、軽やかに答えが返ってくる」という。その傾向から、峰久さんは現在を「空気を必要以上に読む時代」と分析する。

一方、「世論調査報道には節度が必要だ」と説く。調査には常に、10%程度のメイキング、つまり調査員が勝手に回答を記入したり、回答者が知ったかぶりして答えたりすることがあるそうで、「たかが世論調査、されど世論調査。信じ過ぎない、疑い過ぎない」のが心構えと言う。

峰久さんは最後に、次期総選挙について次のように大胆に見通した。
「自民党が抱えている問題は麻生首相の首をすげ替えれば何とかなる問題ではなくなっている。それは世論調査でも裏付けられ、政党支持率が明らかに民主党優位だ。女性も民主支持が高くなった。低支持率を、首相交代を望む声と読むべきではなく、(世論は)政権交代を望んでいる」

ゲスト / Guest

  • 峰久和哲 / Kazunori MINEHISA

    日本 / Japan

    朝日新聞編集委員 / Editorial Committee, Asahi Shimbun

研究テーマ:世論調査

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