会見リポート
2009年06月05日
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ミゲル・ルイス=カバーニャス・駐日メキシコ大使
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会見リポート
危機乗り越え前進したい
宮川 裕章 (毎日新聞外信部)
記者の関心は、なぜ世界の中でメキシコで最も感染が拡大し、なぜ多くの死亡者が出たのか─に集まった。大使は「科学的に証明されていないが」と前置きしたうえで、①風邪や通常のインフルエンザが流行する冬に発生し、症状も似ていたことから混同する人が多かった②メキシコ人は医者に行かず病気を治そうとする傾向が強い─などの点を挙げた。貧困層で特に感染が拡大したのではないかという問いには、感染死亡者の37・7%が肥満や糖尿病患者などだったというデータで反証した。
慎重に言葉を選びながらも、会見の端々で、日本を含め各国が取った渡航自粛政策などで観光業が打撃を受けたことへの懸念も感じられた。「(各国に)正当性に欠けると主張したが、理解されつつある」と表現し「舛添要一厚労相とコルドバ保健相ら政府高官同士が緊密に連絡をし、日本政府はすばやく渡航警戒緩和の措置を取った」と謝辞で結んだ。発生源がメキシコ以外の国である可能性については、「メキシコでの発生以前に存在したという調査結果が出つつあるが、特定の国名を出すのは避けたい」とおそらく米国を念頭に置きながらも、言葉を濁した。
今年は日墨交流400周年にあたり、大使は会見で、両国で開かれるさまざまなイベント企画も紹介した。インフルエンザの危機を乗り越え、早く前に進みたいという強い意志を感じた。
ゲスト / Guest
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ミゲル・ルイス=カバーニャス / Miguel Ruiz-Cabañas
メキシコ / Mexico
駐日メキシコ大使 / Mexican Ambassador to Japan