2009年06月03日 00:00 〜 00:00
G.L.ピーリス・スリランカ輸出開発・国際貿易相

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会見リポート

国際社会の懸念に反論

和田 真人 (共同通信外信部)

反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)と政府軍との25年以上に及んだ内戦が5月、終結した。ピーリス輸出開発・国際貿易相は27万人に上る避難民のキャンプからの早期帰還が最優先課題とし「経済活動を復活させ、(避難民が帰還先で)生活できるようにしないといけない」と述べた。

ピーリス氏は観光や貿易での各国の経済支援を要請。戦闘が激しかった北部では、特に漁業の潜在力があるとした上で、日本からの経済支援に強い期待感を示した。6カ月以内の地方選実施も明言した。

多数派シンハラ人と少数派タミル人による民族対立が残した傷は深く、和解と融和には時間がかかりそうだが、現地からの報道によれば、両民族とも内戦終結を歓迎しているという。これまで食糧や避難民のテントなどを援助してきた日本が、積極的に関与していけば、和解と融和の手助けとなるだろう。

しかし、ピーリス氏は会見で、こうした内戦終結後の青写真よりも、国際社会の〝誤解〟を解くことに力を入れた。スリランカ政府が最終局面での死傷者数を公表せず、政府軍の無差別攻撃に対する懸念が、国際社会でくすぶっていることへの反論だ。

ピーリス氏はLTTEが民間人を人間の盾にしたため「政府は民間人の安全を第一に考えた」とし、勝利だけを考えた攻撃は控えたと説明。民間人の死傷者数の調査や政府の戦争犯罪追及という考えに「法的、道徳的な根拠はない」と抗議した。

ピーリス氏も会見で死者数の公表を拒否したが、経済支援を求めるなら、国際社会の呼びかけに柔軟に応じる姿勢も必要だろう。スリランカ政府が意固地になればなるほど、復興が遅れ、市民にさらなる負担を強いることにもなりかねない。
 

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