2009年05月25日 00:00 〜 00:00
緒方貞子・JICA理事長

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会見リポート

新生JICA─国づくりへの貢献

鈴木 美勝 (時事通信解説委員)

日本の「顔」が見える国際貢献に大きな比重を占める援助、それを一元的・総合的に実施する新JICA(国際協力機構)が発足して8カ月。大組織を率いる緒方理事長が、その成果と課題を説明した。

技術協力・円借款・無償資金協力を三位一体で運用し、いかに効果的な援助を推進するか。地道な援助で挙げた「点」の成果を、いかに「面」に広げていくか─等々。所信の一端を披露した後、相互依存増す今日、「一国平和主義は、もはや世界に通用しない」と、きっぱり言い切った。

現場主義を貫く緒方氏の活動範囲は実に広い。この間の行動を振り返ると躍動感が伝わってくる。新JICAの最重要課題の一つ、アフガニスタンの国づくり支援。発足後1カ月余、首相特使としてカブールに飛んだ。その後もアフガン・パキスタン支援の包括戦略を調整するため訪米するなど、4月のパキスタン支援国会合の成功をお膳立てした。

昨今、経済成長の勢いと力まかせの物量作戦でハコモノ建設や大規模援助を実施する大国が現れるなか、日本の流儀は「援助効果」を生身の人間ひとり一人が実感できる“Bigger & Better”の精神を基礎にする援助。緒方氏は、農業、保健、教育、コミュニティ開発など、現場で地道に積み上げてきた実績と活動を知っていただきたい、アフガンのみならず世界各地の平和構築・復興支援の現場で汗する日本人の姿をぜひ見ていただきたい、と訴えた。

2003年、ブッシュ米大統領(当時)が空母エイブラハム・リンカーンの艦上からイラク戦の勝利を意気揚々と宣言してちょうど6年。ニューヨークで筆者が主催したセミナーで緒方氏の力説した言葉が蘇った。「国づくりというのは一朝一夕にできるものではない。人の心の中には怨念から欲望に至るまでずっしりございましょうから、アメリカには(戦後イラクの国づくりに)じっくり取り組んでいただきたい」─。

ゲスト / Guest

  • 緒方貞子 / Sadako OGATA

    日本 / Japan

    国際協力機構理事長 / Director General, JICA

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