2009年05月18日 00:00 〜 00:00
コニー・ヘデゴー・デンマーク気候・エネルギー大臣

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会見リポート

日本は野心的な中期目標を

樋口 明 (共同通信科学部)

「日本の温室効果ガス排出削減の中期目標は、野心的なものでなくてはならない」。政府、国民へのメッセージは、この言葉に尽きていた。

ヘデゴー氏は、今年末の気候変動枠組み条約締約国会議で議長を務める予定だ。この会議で各国は、京都議定書に続く地球温暖化対策の国際枠組みの合意を目指す。

次期枠組みの削減義務は、日本を含む先進各国の中期目標と密接に関連するため、国内の目標の議論が本格化しているさなかの来日は、国際交渉を見据えた絶妙のタイミングだった。半日ほどで環境、経済産業、外務の各省を回ったほか麻生太郎首相と会談、日本経団連とも意見を交わすという精力的日程で、歴史的会議を成功させたいとの強い意欲と、タフな交渉者の顔をのぞかせた。

国内の中期目標の議論は、温暖化をどの水準で、どう止めるのかということより、対策による経済影響が強調されるきらいがある。温暖化が進展すれば、被害額が対策費用を上回ることは世界の共通認識となりつつあるが、日本では、一部産業界が対策に伴う家計負担などを前面に押し出し、京都議定書の目標より大幅に緩い「4%増にすべきだ」との主張を大合唱しているのが現状だ。

ヘデゴー氏も、そんな産業界の動きは「先刻承知していた」(日本政府関係者)といい、会見で「4%増の目標は、21世紀の世界で成り立つものではない。日本のリーダーシップに応えていない水準だ」とくぎを刺した。「対策を先延ばしにすればするほど未来の世代へのつけが高くなる」とも述べ、われわれが次世代にどう責任を果たすのかが問われていることを指摘した。

麻生首相は「6月半ばに目標を発表したい」としている。この会報が出るころ、日本の温暖化問題への責任感と覚悟が明らかになる。

ゲスト / Guest

  • コニー・ヘデゴー / Connie Hedegaard

    デンマーク / Denmark

    気候・エネルギー相 / Minister of Climate and Energy

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