2009年04月17日 00:00 〜 00:00
濱田純一・東京大学総長

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会見リポート

「知の公共性」を求めて

嶋田 数之 (朝日新聞紙面審議会事務局長)

東大新聞研究所教授をつとめ、情報法の研究者としてメディア界ではつとに知られる。プレスセンターも「第2のふるさと」と自認する。しかしオーソドックスを好む学問の世界では、自身の出身分野が「必ずしも正当な評価ではなかった」と振り返る。組織力学で言えば本流ではなかったかもしれないが、米国のオバマ大統領誕生になぞらえ「いわば学内マイノリティーのわたしを総長にした東大とは、実に恐ろしい組織だ」と実感した。

総長としてあらためて東大を俯瞰して、「巨大な森」を見る思いがした。学生総数2万8千人。教職員を含めると3万数千人を擁する。しかも東大が日本と世界に果たす学問的役割と社会貢献への期待値を考えると、「実際の規模は数字以上のものがある」と感じている。
 
この巨大な森を動かす理念として、「知の公共性」を掲げた。メディアの自由と公共性を追求してきた研究者ならではの指針であろう。知識を共有することで快適な社会づくりをめざし、世界を担う「知」の拠点を確立したいと意欲を示す。

今年の入学式で「タフな東大生として成長してほしい」と新入生に呼びかけた。大学の国際化を促進し世界に「知」を発信すると同時に、世界からも未知の知識と活力を導入したい。そのための語学学習、国際経験、留学生との交流などを拡大する。そして卒業生が大都市だけでなく、世界の隅々でも活躍できるだけの知力と指導力を発揮できる「厚み」のある教育を提供したいという。
 
伝統的に東大生は公共奉仕の意識が強いが、何をすれば公共の役に立つのか見えにくい世の中になってきた。いまこそ人材の活力を引き出すリーダーシップを痛感している。

ゲスト / Guest

  • 濱田純一 / Jyunichi HAMADA

    日本 / Japan

    東京大学総長 / President, University of Tokyo

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