2009年04月15日 00:00 〜 00:00
マクドゥーム・シャー・マヘムード・クレシ・パキスタン外務相

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会見リポート

支援とテロ対策のリンク

山内 聡彦 (NHK解説主幹)

「テロとの戦いなどの課題を解決するには政治経済的に安定したパキスタンが必要だ」。クレシ外相はこう述べて、パキスタン支援国会合を前に国際社会の支援に期待を表明した。今なぜパキスタン支援なのか。アメリカは新たなアフガニスタン戦略を打ち出し、パキスタンをアフガニスタンと一体のものとして重視する方針を示した。背景には過激派の拠点がアフガニスタンではなく、パキスタンの国境地帯にあり、パキスタンの協力が欠かせないという事情がある。しかし、パキスタンは今破たん国家寸前の状態だ。会合はそのパキスタンを支援しようと日本政府が呼び掛け、初めて開かれたものだ。

会見でクレシ外相は対テロ作戦について国境地帯に11万7000人の部隊を配備し、345億ドルをかけて進めていると指摘し、「テロ対策は単にアメリカが望むからだけではなく、パキスタンの国益にもかなうことだ」として、作戦を強化する考えを示した。  支援国会合は結局、想定を上回る2年間で52億ドルの支援を表明し、国際社会全体でパキスタンを支えていく姿勢を示した。

ではこうした支援がテロ対策の強化につながるのだろうか。アメリカが軍事作戦を行えない以上、パキスタン政府に頼らざるをえない。やる気を起こしてもらうには経済支援の拡大なしには難しいだろう。一方国民が過激派に同情的で、対テロ作戦に反発していることも問題だ。国際社会は支援とテロ対策をリンクさせ働きかけを強めていく必要があるし、パキスタンも支援を効率的に使い、テロ対策に真剣に取り組むことが求められる。クレシ外相の次の言葉に期待したい。「パキスタンはイスラム社会のモデルとなり、この地域の民主的な時代を率いていきたい」。

ゲスト / Guest

  • マクドゥーム・シャー・マヘムード・クレシ / Makhdoom Shah Mahmood Wureshi

    パキスタン / Pakistan

    外務相 / Minister of Foreign Affairs

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