2009年04月01日 00:00 〜 00:00
塩崎恭久・元内閣官房長官

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会見リポート

迫力あるリーダーに脱皮期待

川上 高志 (共同通信編集委員)

今後の自民党の中心となる有力候補であるのは間違いない。「国家ビジョンを掲げる政治を取り戻さなければならない」と強調し、「新・産業革命」や「安全・安心立国」など「5つの戦略」を示した。その中長期展望こそが今の自民党に欠けているものだ。だがそれを個人的な提言ではなく、どうやって党の政策にオーソライズしていくのか。

「端正」な政策通ではなく、「泥臭く」ても党内で主導権を握る力量が試されるポジションに来ている。この日の発言だけでは、自民党再生の指導者としては物足りなさを感じた。

昨年末に「速やかな政策実現を求める有志議員の会」を結成し、麻生首相の経済政策を批判してきたが、今回の追加経済対策については「議連の議論とダブっている」と容認。「反麻生」ではなく「親・国民」だと述べた。公務員制度改革でも首相判断に抵抗しきれなかったことを認め、「5月解散」の場合は麻生首相で戦うことも受け入れた。「麻生降ろし」に関して「党内のみんながどう流れていくかだ」という評論家的発言からは手詰まり感が浮き彫りになった。

小沢民主党代表の献金問題で状況が一変したとはいえ、自民党を取り巻く情勢は厳しい。次の衆院選で政権を維持できたとしても、自民党は世代交代を進め、党改革に取り組まなければならない。野党転落ならば、より厳しい自己改革を迫られる。いずれにしても中核を担うのは塩崎氏の世代だろう。
 
「自民党と民主党の違いが何か国民にも分からない。2大政党の『分かれ方』が問われる」と述べ、「(政党を)組み直して、民主主義を成熟させなくてはならない」と強調したが、それを主導する役割を果たすためには、迫力あるリーダーにもう一皮むけることを期待したい。

ゲスト / Guest

  • 塩崎恭久 / Yasuhisa SHIOZAKI

    日本 / Japan

    元内閣官房長官 / Former Chief Cabinet Secretary

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