2009年03月05日 00:00 〜 00:00
トケ・トゥフキア・タランギ・太平洋諸島フォーラム(PIF)議長

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会見リポート

温暖化・・・島嶼国の危機を訴える

杉浦 美香 (産経新聞社会部)

「太平洋の島国は地球温暖化に脆弱だ。温暖化の影響でハリケーンは年々強くなり、すでに島民の生活に影響を与えている。キリバスやツバルは水没の危険にもさらされている」

5月に北海道で開かれる「太平洋・島サミット」に先立ち、来日したタランギ議長(ニウエ首相)はこう、島嶼国が抱える問題を訴えた。

今年12月には、2013年以降のポスト京都議定書の国際的枠組みを決める気候変動枠組み条約国会議(COP15)がデンマークで開かれる。議長がこの会議に向けて求めているのは先進国の率先した温室効果ガス削減に向けた行動と、京都議定書の下、発展途上国が地球温暖化の悪影響に適応するために資金を提供する「適応基金」をもっと使いやすくしてほしい、ということだった。

日本では最近、温暖化に対して懐疑的な書物が出版されるなどしているが、島嶼国にとって温暖化による影響はまさに生命に関わる問題だ。同議長は、水位の上昇で水没の危険がある島では、オーストラリアなどへの島民の避難も含めて議論になっていることを紹介。「避難先で島民が国家主権を主張できるのかといった難しい問題もある。(先進国は)温暖化の事実を認識して、他人ごとでなく自らのこととして行動してほしい」と迫った。

日本ができることは何か。麻生太郎首相は、太平洋に浮かぶ16の国や地域で作るPIFと同じ島国である日本が、気候変動や廃棄物などの問題について同等のパートナーとして取り組む「環境共同体構想」を提案した。

観光は同地域の大きな産業だ。日本人訪問者について同議長は「現在の年間13万~15万人から50万人に増えてほしい」と語った。観光産業を守るためにも温暖化対策は欠かせない。

ゲスト / Guest

  • トケ・トゥフキア・タランギ / Toke Tufukia Talagi

    ニウエ(ニュージーランド) / Niue(New Zealand)

    太平洋諸島フォーラム(PIF)議長 / Chairman, PIF

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