2009年03月27日 00:00 〜 00:00
古賀伸明・連合事務局長「雇用問題」4

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会見リポート

パラダイムの転換が必要

森 一夫 (日本経済新聞特別編集委員兼論説委員)

「話が何となくひとごとのように聞こえます」。連合の古賀伸明事務局長に、少々きつい感想が会員から出た。仕事と生活の調和を意味するワーク・ライフ・バランスの重要性を古賀氏がこう強調したときだ。

「サービスをよくするのはいいが、働く人はどうなるのか。宅配便は配達時間まで指定する必要があるのか。コンビニエンスストアは24時間開いていなければならないのか。真の豊かさとは何か、社会の仕組みから考え直すべきだろう」

これに対して「問題があるなら、働いている人がひどいと声を上げなくては駄目なのでは」というのが会員からの意見である。労働組合は評論家ではないからだ。

古賀氏は「新自由主義があおった金融の膨張や、市場に任せればよいという市場原理主義の暴走が、現在の分配のひずみや雇用悪化をもたらした」とみる。「価値観、パラダイムの転換がぜひ必要だ」という。

連合が実際にしていることは何か。政府に雇用対策の推進を求めたり、日本経団連や厚生労働省と政策をすり合わせたりすることである。仕事を分かち合う「日本型ワークシェアリング」での政労使合意が成果として挙げられるが、実態は既存の雇用調整助成金の拡充である。

「ワークシェアを理由に、労働条件の引き下げは受け入れられない」というものの、「個々の労使が合意したものは尊重する」という。実質的に賃金カットを伴う動きがすでに出ている。非正社員のための政策も掲げているが、「雇用の原則は期間の定めの無い直接雇用(つまり正社員)」との認識である。

労働界で力があるのは個別企業の労組で、連合はそれに乗るいわば業界団体のようなものである。労働組合の構造上、古賀氏の話が総論的になるのは仕方がないのだろう。

ゲスト / Guest

  • 古賀伸明 / Nobuaki KOGA

    日本 / Japan

    連合事務局長 / Secretary-General, Union

研究テーマ:雇用問題

研究会回数:4

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