2009年02月12日 00:00 〜 00:00
池上清子・国連人口基金東京事務局長/原ひろ子・女性と健康ネットワーク代表「オバマのアメリカ」3

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会見リポート

人工妊娠中絶政策でも変革

西内 正彦 (共同通信出身)

民主党のオバマ米大統領は就任直後に、人口・女性の健康に関する政策でも、共和党のブッシュ政権から大きな「変革」を示した。

ブッシュ政権時代は、人工妊娠中絶を防ぐために家族計画を推進している国連人口基金(UNFPA)や途上国のNGOなどに対して、米国の資金援助を停止していたのだが、これを転換させ、UNFPAへの拠出再開を明らかにしたのだ。

前政権の考え方は、共和党のレーガン大統領時代の1984年に導入された。クリントン政権で廃止され、ブッシュ政権が再施行しており、「グローバル・ギャグルール(口封じの世界ルール)」とも称された。

途上国の人口問題解決を支援しているUNFPAへの留保金額は2億4400万ドルという試算がある。それだけに研究会で、東京事務所の池上所長(写真=右)はトラヤ・オベイド事務局長の「歓迎メッセージ」の日本語訳を配布、あらためて「家族計画の方法として中絶を支援していない。自主的な家族計画の実施を支援し、望まれない妊娠を防ぐことを促進している」との立場を強調した。

女性と健康ネットワークの原さんは、ギャグルールを順守したフィリピンのアロヨ政権下では「多くのNGOは財政的に打撃を受け、性教育が制限され、コンドームの配布が禁止されたために、望まない妊娠やHIV感染が拡大した」と報告した。

途上国政府やNGOは、2015年までに妊産婦死亡率の削減などを目指す「ミレニアム開発目標」に取り組んでいる。拠出再開が、目標達成につながることを期待したい。

ゲスト / Guest

  • 池上清子 / Kiyoko IKEGAMI

    日本 / Japan

    国連人口基金東京事務局長 / Secretary-General,Tokyo Secretariat, UNFPA

  • 原ひろ子 / Hiroko HARA

    日本 / Japan

    女性と健康ネットワーク代表 / Representative, Woman and Health Network

研究テーマ:オバマのアメリカ

研究会回数:3

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