2009年01月28日 00:00 〜 00:00
ハッサン・ガシュガヴィ・イラン外務報道官

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会見リポート

米国がコブシを開くべきだ

安東 建 (朝日新聞外交・国際グループ(前テヘラン支局長))

イランの外務報道官は、週1回テヘランで内外メディアを対象に定例会見を開くのが重要な仕事。会見での発言は至急電で世界に流れることも多い。02年から続く核開発問題では、欧米メディアが流す数々の疑惑を否定し続け、「ミスター・ディナイアル」と呼ばれた報道官もいる。

ハッサン・ガシュガヴィ外務報道官は外務省に入省後、カザフスタン大使、スウェーデン大使を歴任後に報道官に就任、将来を嘱望された外交官だ。訪日の背景には、イスラエルのガザ攻撃及び米国のオバマ政権発足が重なった時期に、現在、国連安全保障理事会理事国である日本に自らの立場を説明したいという意図があったのは間違いない。

日本は米欧とは違う独自の立場を取りうる国だ、とイランは見ている。

ガシュガヴィ氏は冒頭、国営放送、通信社を含むイランメディアの近年の発展ぶり、日本との友好関係を強調した。会場から①断交する米国のオバマ新政権との関係②ガザのハマス支援問題と対イスラエル関係③核問題での妥協、NPT追加議定書の批准の有無、という3点が質問された。オバマ演説について「まず米国が自らのこぶしを開き、中東の現実を直視すべきだ」と述べ、核問題でも「自国の平和利用の権利がじゅうりんされる状況は看過できない」と主張。イラン政府内部の公式見解から外れることのないそつのなさを見せた。司会者の「弾道ミサイル開発は何のためか」という追及も、「核開発とは別物」とかわした。

イラン関係者の演説は、イスラムの歴史にも触れた哲学的内容が混じることも多い。だが、そのなかで公式見解の微妙な変化に気づかされることもある。イランの動向に関心が高まり、ガシュガヴィ氏の言葉に耳を澄ます機会が今後も増えそうだ。

ゲスト / Guest

  • ハッサン・ガシュガヴィ

    イラン / Iran

    外務報道官 / Foreign Affairs spokesman

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