2009年01月26日 00:00 〜 00:00
水野和夫・三菱UFJ証券チーフエコノミスト「2009年経済見通し」

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会見リポート

半年間でGDP30兆円減か

見市 元 (朝日新聞出身)

米国の消費が落ちると日本の輸出が減る、だから日本は80年代半ばから対米輸出比率を減らし、東南アジア向けなどに輸出をシフトしてきた。しかし、アジアは日本からの輸入品を加工して対米輸出に回していた。米国の消費減は日本からの輸出も、アジア経由の日本の輸出も減らした。08年第3四半期、米小売売上高が4・1%落ちたら3カ月後の第4四半期の日本の輸出は53・1%も減った。第4四半期の米小売はもっと減っているから、日本の輸出はさらに落ち込む。

輸出減につれて設備投資も落ち込む。消費も冷える。結果的に米国の消費が1%減ると日本のGDPは1・7%落ちる。09年第1四半期までの半年で、日本のGDP530兆円の5%余の30兆円が減るだろう。日本は米国経済に80年代よりもさらに深く組み込まれていた。

米国経済が金融バブルの破綻で抱え込んだ4兆ドルの過剰債務の返済には、5年はかかる。その間、米国、欧州、そして日本もマイナス成長が続く。その調整期が過ぎた後、中国・アジア諸国など新興国の実物経済が拡大していくだろう。ユーラシア大陸の真ん中に位置するアフガニスタンを安定させた国が、世界経済の主導権を握るのではないか。

米ドルはもはや基軸通貨には耐えられない状態だ。米国経済の復活も難しい。そうなれば4年後のオバマ再選も困難ではないか。

日本は対米依存を脱して、新興国、とりわけアジアと結びつきを強め、アジア全体の内需が日本の需要に結びつくようにならなければならない。

以上が、水野氏の分析のあらまし。サブプライムローン問題が「アメリカ金融帝国」を崩壊させ、それがいま資本主義始まって以来の世界経済の地殻変動を起こしている、という水野氏の話は説得的だった。

ゲスト / Guest

  • 水野和夫 / Kazuo Mizuno

    日本 / Japan

    三菱UFJ証券チーフエコノミスト / Chief economist of Mitsubishi UFJ Morgan Stanley

研究テーマ:2009年経済見通し

研究会回数:0

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