2008年12月08日 00:00 〜 00:00
ジョナサン・フリード・駐日カナダ大使

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会見リポート

経済面で提携強化を

平田 育夫 (日本経済新聞論説委員長)

財政収支は10年間も黒字、経済成長が続き、石油は世界有数の埋蔵量を誇る。カナダは経済の優等生だった。しかし、お隣の米国に発した金融・経済危機の影響が国内に及び、さすがに参っている様子。

「世界的な金融・経済危機だからこそ日本とカナダは手を携えていこうではありませんか」。インド大使に転出した前任のジョセフ・キャロン氏の後を受け、9月に着任したフリード大使は日加提携のメリットを熱っぽく語る。

「カナダには農産物や鉱物資源だけでなく情報技術やソフトウエアの開発、燃料電池、バイオ、複合材料などの高い技術がある。48%が大学卒業で人材のスキルも高い」

民主主義の価値観などを共有する日本とは相性がよく「ごく自然な形でパートナーになれると思う」。

今年は日加修好80周年。それを機に、企業・研究機関同士の提携や日本企業によるカナダへの投資を促進したい考えのようだ。

母国の外務・国際貿易省で経済畑が長かった大使は経済にとても明るい。世界不況への対応で質問が出ると「日本は多くの債務を抱えているが、国債のほとんどは国内で吸収している」と、日本に一層の財政出動を期待しているとも受け取れる発言。なかなか手ごわい外交官である。

カナダは対人地雷禁止条約の音頭をとったり、最近では大勢の犠牲者を出しながらもアフガニスタンに人を送って平和構築を支援したりと、世界の問題に関与する「大人の国」。

当方から「飢餓、伝染病、環境、水不足、難民などの問題でも日加が提携できるとよいのだが」と質問すると「もちろん、そういう面でも一緒にやりましょう」との答えだが、経済危機に着任した新大使は経済面での日加提携の強化に特に重きを置いている印象だった。

ゲスト / Guest

  • ジョナサン・フリード / Jonathan FRIED

    カナダ / Canada

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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