2008年11月17日 00:00 〜 00:00
宮家邦彦・立命館大学客員教授「アメリカの底流」12

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会見リポート

日本は入れ替え戦に生き残れるか

中井 良則 (毎日新聞論説副委員長)

27年間の外交官人生で中東専門家のイメージが強い。クラブの中東ベーシック研究会に3回、来ていただいた。だが、米国や日米関係も鋭い切り口を見せる。オバマ当選後の米国をどう見るか、刺激的な話を聞かせてもらおうとお招きした。

週末をつぶして用意したというパワーポイントを使い、米国の政治史から保守・リベラル論、人種、パラダイム・シフト、グレートゲーム、さらに日米安保まで目まぐるしく展開した。気になるキャッチフレーズも満載だ。

冒頭、「偽米国通」がしゃべりそうな語り口の5類型をあげた。

①「初の黒人大統領が誕生した」(アフリカ系と黒人を区別しない)②「新しいニューディール連合ができた」(それほど民主党は強くない)③「ユダヤ・ロビーは恐ろしい」(ユダヤ系に対する差別を理解すべし)④「アー○テージやグ○ーンに会った=表現のまま」(知日派すなわち親日派ではない)⑤「中国専門家が増えたねえ、と嘆く」(中国が問題だから中国語を学ぶ)。

どれも、よく聞く落とし穴ではないか。

会場の関心を集めたのは「日本入れ替え戦」理論か。米国発の世界金融危機で、G7体制からG20体制に移行が進む。G7はメンバー固定制。東京六大学野球みたいなもので、成績不振で最下位でも入れ替え戦などなく、リーグにとどまれる。ところがG20とは二部リーグ制であり、一部リーグの最下位になってしまうと二部リーグのトップと入れ替え戦を戦わなければならない。はい上がってくる二部のトップはさしずめ、中国だ。

「日本は入れ替え戦に生き残れるでしょうか」。おそらく、これが宮家さんの最大の問題意識だろう。古巣の外務省への注文も出た。危機感に満ちた1時間半だった。

ゲスト / Guest

  • 宮家邦彦 / Kunihiko MIYAKE

    日本 / Japan

    立命館大学客員教授 / Guest Professor, Ritsumeikan University

研究テーマ:アメリカの底流

研究会回数:12

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