会見リポート
2008年11月04日
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本保芳明・観光庁長官
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会見リポート
観光戦略腕のみせどころ
縣 忠明 (産経新聞エフシージー総合研究所編集委員)
で、掲げた目標が「2020年までに外国人観光客を2000万人誘致する」というものだ。昨年実績が834万人余だから、かなり高い設定といえるが、初代長官としての意気込みを感じさせた。
むろん根拠はある。中国を中心にした成長著しい東アジアの観光客を取り込めば、不可能な数字ではないからだ。現に今年前半、中国、香港、タイなどからの観光客が対前年比で大幅に増加した。長官は「地政学的な強みを生かせる」と強調したが、確かに北米やEU諸国に比べると優位性は保てよう。
観光庁の大きな役割の一つは、疲弊した地方を観光で活性化させることだという。地域産業の不振で雇用不安を抱える地方からは「観光しかない」との声も出ているとか。外国人観光客の70%が東京など3大都市圏に集中している現状を考えれば、これらの旅行者を地方に呼び込むことが急務だ。
問題は観光地のソフトを含めた整備といえる。日本人観光客をもてなしてきたノウハウは豊富だが、外国人への対応はまだまだ不足している。長官も「国際化への転換が重要」と注文をつけた。
長官はかつて、国土交通省から日本郵政公社に出向し、郵便事業や物流事業の効率化に手腕を発揮した実績を持つ。財界関係者からは「役人とは思えない発想をする」との評価もあると聞く。今度はその柔軟な発想力で観光戦略に挑む。腕の見せどころではある。
ゲスト / Guest
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本保芳明 / Yoshiaki HONPO
日本 / Japan
観光庁長官 / Director General, Sightseeing Agency