2008年10月24日 00:00 〜 00:00
脇祐三・日本経済新聞論説副委員長「著者と語る『中東激変―石油とマネーが創る新世界地図』」

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会見リポート

ドバイ発展に急ブレーキ?

藤原 和彦 (読売新聞出身)

会が始まる前、1階にある書店をのぞいてみた。お目当ての『中東激変』は入り口脇のカウンターに平積み。会場に入って、今度は、本とその著者に向ける会員の注目の高さを思い知らされることになった。この日東京はあいにくの大雨。だが、会場には早くも会員が詰め掛けていた。

ところで、著者は日本マスメディア初の(イランを除く)湾岸「ガルフ」駐在員として1985年から88年までバーレーンに滞在した。それだけに、一時期であれ湾岸を生活拠点とした、日本マスメディア初の湾岸ジャーナリストと言ってよい。そして、中東の政治・外交の重心が湾岸に移った今、中東報道・解説は著者の独壇場になった観がある。

さて、著書は本のあとがきで「この本の執筆は、すでに書き終えた章を翌月に書き直すような作業の繰り返しだった」と書いている。会前半の著者の講演もこれに似て、本出版後の“中東激変”を直接反映したものとなった。

というのも、著者が講演で報告・分析してみせたのは、現在の、世界的な金融危機に見舞われる中東、とりわけ湾岸の経済状況だったからだ。例えば、世界注目のアラブ首長国連邦ドバイについては、こう指摘した。

「資金調達コストの上昇、外国資本の投資姿勢の保守化(特に不動産部門)、世界景気の急減速で、ドバイの急速な発展にブレーキがかかる恐れもある。2009年からドバイの不動産相場が下落に転じるとの見方も。ドバイの政府系2大不動産デベロッパーのうち、陸上事業主体のエマールが建設中の超高層ビル『ブルジュドバイ』(800㍍超)に対抗して、海浜・海上事業主体のナキールが今月発表した1000㍍級のビル建設計画には、クールな反応も」(以上、講演レジュメから)

質疑応答も金融危機が中心となった。焦眉の問題だけに、筆者と参加者のやり取りは熱の入ったものだった。

ゲスト / Guest

  • 脇祐三 / Yuzo WAKI

    日本 / Japan

    日本経済新聞論説副委員長 / Vice-Chief Editorial Writer, The Nikkei

研究テーマ:著者と語る『中東激変―石油とマネーが創る新世界地図』

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