2008年10月31日 00:00 〜 00:00
中川昭一・財務相兼金融担当相

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会見リポート

「麻生イニシアチブ」を強調

安部 順一 (読売新聞編集委員)

世界金融危機が実体経済にも深刻な影響を及ぼし始め、政府が前日に総事業規模27兆円の追加景気対策を打ち出した直後というタイミングでの会見となった。もっとも、話はもっぱら世界金融危機への対応に向けられ、国内景気の浮揚策に決め手に欠く現状も浮き彫りにした。

世界金融危機への対応は、約10年前に金融危機を経験した日本にとっては、幸か不幸か得意分野。「米欧にとって金融危機は歴史の中の知識としてあるが、肌で覚えているのは日本しかない」と語り、日本のリーダーシップの重要性を強調した。

その上で、11月15日の金融サミットの課題として、複雑化した金融商品への規制、格付け会社のあり方、時価会計のあり方などを挙げ、「議長国は米国だが、麻生首相がかなり具体的な提案を出す。日本は資金力も経験も人材もあり、世界的な役割を果たさなければならない」として、「麻生イニシアチブ」を準備していることを明らかにした。

一方、追加景気対策では、2兆円の定額給付金の景気浮揚効果を聞かれ、「給付金は生活支援。ガソリン高、食料高、物価高で悩んでいる人たちへの給付だ。2兆円が100%景気刺激に回らず、貯蓄や借金の返済に回ることもあるだろう」と苦しい答弁をする場面もあった。

全体ににじんだのは、麻生首相との親密さ。「首相とは去年の今頃から、このままいくと大変だと危機感を共有していた」「一緒に本を出そうと話し合ったほどで、考え方は分かっているし、同じ方向だ」など、「側近」ぶりを印象付けた。

初めて財務相と金融相を兼ねる政権のキーマンである。外交・安保問題での積極発言で知られるが、世界経済だけでなく国内景気の難局をどう乗り切るか、真価が問われる。


ゲスト / Guest

  • 中川昭一 / Shoichi NAKAGAWA

    日本 / Japan

    財務相兼金融担当相 / Minister of Finance、 Minister for Financial Services

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