2008年10月15日 00:00 〜 00:00
吉崎達彦・双日総合研究所主任エコノミスト「アメリカの底流」11

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会見リポート

米新政権発足後難しい判断も

安倍 宏行 (フジテレビ報道局取材センター経済部長・解説委員)

「まこと、ロンドに終わりはなく、人類は、遠からず同じ旋律を聞くに違いあるまいと思います」。吉崎氏が冒頭紹介したこの詩的?な一節、9月25日ニューヨークでの国連総会における麻生総理大臣の演説の一部である。

無論、米金融危機のことを言っているのだが、欧米に比して傷の浅い日本の総理大臣だからこそ言えた、と言えなくもないが、このエピソード、全く日本のメディアが報じなかったのは確かに不思議ではある。

吉崎氏の真骨頂は、政治も経済も語れることだろう。自他共に認める「アメリカおたく」の氏が米金融危機に関し指摘したのは、この危機を招いた責任を問うための、司法介入の可能性と、世論がスケープゴートを求める可能性だ。今回の危機を招いたのは、グリーンスパン前FRB議長だ、という声があがりかねない、との氏の指摘も、ありえない話、と一蹴できないものを感じる。

さて、本題の大統領選。ペイリン効果も長続きせず、リーマン・ショックの直撃で9月中旬にはオバマ候補に逆転されたマケイン候補、窮地に立たされた。どうやら民主党政権が誕生しそうだが、吉崎氏は、オバマ氏がかねてからイラクの兵を引いてアフガンに投入すべき、と主張していることを指摘。年明け、日本がイラクと金融危機で金のないアメリカからまたぞろ金を無心されるかもしれない、と懸念を表明した。麻生政権(いや、もしかしたら小沢政権?)も難しい判断を迫られそうだ。

さらに興味深かったのは、日中が2000億ドルずつ共同出資して、「アジアマネタリーファンド」を創設したらどうか、という提言。それほどの外交力と機動力を日本政府が発揮するとも思えないが面白い。日米新政権発足後、今一度、吉崎氏にはご登壇願いたいものである。


ゲスト / Guest

  • 吉崎達彦 / Tatsuhiko YOSHIZAKI

    日本 / Japan

    双日総合研究所主任エコノミスト / Chief Economist, Sojitz Research Institute

研究テーマ:アメリカの底流

研究会回数:11

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