2008年10月02日 00:00 〜 00:00
ラドスワフ・シコルスキ・ポーランド外相

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会見リポート

ロシアは偉大さを示してほしい

安藤 徹 (東京新聞論説委員)

グルジアへのロシア軍侵攻、米国とのミサイル防衛(MD)協定調印、「新冷戦」論議─。緊迫する国際情勢下での訪日。質疑は自ずと安保問題が中心となった。

現状を新冷戦と見る議論については「冷戦とは全く歴史的背景が違う」と距離を置きつつ、「ロシアには経済、文化、技術力で偉大さを示してほしい。そうでないと19、20世紀に逆戻りする」と厳しく注文。

自国民の間で支持が高かったとはいえないMDの配備合意には「イランがミサイル実験に踏み切ったことで国内批判は薄まった。さらに実験が繰り返されれば国民はMDを愛するようになるだろう」と余裕含みだった。

自らジャーナリストの経歴を持つ。冷戦下に英国亡命し、英国籍を取得。オックスフォード大学を卒業後、英主要紙の特派員として活躍し、アフガニスタン報道で「ワールド・プレス・フォト」最優秀賞を受賞している。

冷戦後、ルパート・マードック氏のポーランド投資担当顧問、米保守系シンクタンク・AEIのフェローを務めた経歴をみれば、その硬派ぶりもうなずける。

ポーランドといえばショパン。日本の若い音楽家にとって憧れの国だ。でも、両国の結びつきは音楽だけではない。第一次大戦後の初代国家元首ピウスツキ将軍は日本を訪問しているし、その実兄はアイヌ研究で知られる。

「来年は国交90年。再来年にはショパン生誕200年を迎える。ポーランドで日本はとても人気がある。それと同じくらい、日本でもポーランド人気が高まってほしい」

夫人は米国人でピュリツァー賞受賞者のアン・アップルバウムさん。会見の第一声は「ジャーナリストの夫です」と、ユーモアたっぷりの自己紹介だった。

ゲスト / Guest

  • ラドスワフ・シコルスキ / Radoslaw Sikorski

    ポーランド / Poland

    外相 / Minister of Foreign Affairs

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