2008年09月09日 00:00 〜 00:00
岩波越・防災科学技術研究所水・土砂防災研究部副部長

申し込み締め切り

会見リポート

ゲリラ豪雨─広範な連係が重要

岩田伊津樹 (読売新聞調査研究本部主任研究員)

「最近の雨の降り方はすごいね。やっぱり温暖化かね」といった会話をよく聞くようになった。雨の激しさもさることながら、厄介なのは局地的にどこに被害が出るかわからない、まさに今回のタイトルのような「ゲリラ」的な降り方である。

今年の夏も、7月28日に神戸市・都賀川で、急激な豪雨による増水によって水遊びをしていた小学生らが流され、4人が死亡した。1週間後の8月5日、今度は東京・雑司が谷で、工事のためマンホール内にいた作業員5人が、やはり大雨の急な増水で流されて死亡した。

都賀川の場合は、激変する川の映像がニュースでも流れた。日ごろ、市民の憩いの場になっている河川敷公園で起きた事故だけに、危険を事前に察知して警報を発せられなかったのか残念だ。

最近では、数時間先までの周辺の天気を知りたい時には、テレビの天気予報を見るよりもインターネットで刻々更新される気象庁のレーダー・降水ナウキャスト画面をチェックすることが多くなった。赤や黄色の雨域が迫ってくれば、一目瞭然、すぐに大雨になるなとわかる。

研究会で紹介された防災科学技術研究所の「Xバンドマルチパラメータレーダ」は、気象庁のレーダーよりもさらにピンポイントで豪雨域の移動がわかる。雑司が谷事故発生時の再現では、強い雨域が現場付近を通過したのが確認できた。

問題は、察知した情報をいかに迅速に現場に流し、限られた時間の中で避難、誘導に結び付けるかだ。屋外でネット画面を見るのは難しいとなれば、防災無線で呼びかけるとか、都賀川のような人の集まる場所であればサイレンを鳴らすとかの対応が必要だ。気象関係だけでなく警察や消防、自治体などより広範な連係が重要になるのはいうまでもない。相手は何しろ“ゲリラ”なのだから。

ゲスト / Guest

  • 岩波越 / Koyuru IWANAMI

    日本 / Japan

    防災科学技術研究所水・土砂防災研究部副部長 / Deputy Director, Division of sediment disaster, NIED

研究テーマ:ゲリラ豪雨の予測と監視技術

前へ 2024年03月 次へ
25
26
27
28
29
2
3
4
5
9
10
11
12
16
17
20
23
24
30
31
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ