2008年08月06日 00:00 〜 00:00
前原誠司・民主党副代表

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会見リポート

政権運営を視野に

野口 武則 (毎日新聞政治部)

次期衆院選までは小沢一郎代表でとの声が大勢の中、マニフェスト見直しを唱え続ける前原氏が、その真意を語った。小沢氏支持者が政権交代の実現という直前の課題に集中するのに対し、前原氏は民主党政権の現実性を模索し政権奪取した先を展望する。視点の違いが摩擦を生む要因と言えそうだ。

まず「国民は政権交代という変化で閉そく感を打ち破ってほしい。しかし政権運営できなかった場合、期待が大きいだけに失望が大きくなる」と率直に語り、「仮に次の選挙で勝ったとしても、次の次の選挙で大敗する可能性がある」とまで言った。

前原氏は93年に日本新党から初当選。しかし非自民連立政権は短命に終わり、新党ブームが去った96年は小選挙区で大敗。何とか比例復活した苦い経験がある。民主党政権で、この歴史を繰り返してはならないとの思いがあるのか。

では昨年参院選挙のマニフェストはどこが問題か。農業戸別所得補償や子ども手当てなどを目玉に、必要な財源は15・3兆円。民主党政権で分権改革、行政改革、無駄な公共事業見直しを行い、「この3つだけでも18兆円以上の行革効果は出る」としながらも、「国民は即効性を期待している。最大の欠点は時間軸があいまいなことだ」と強調した。政権交代して直ちに政策が実現できると国民が期待しても、行革効果で財源が生じるまでに年数を要して実現が遅れる。前原氏の言う「マニフェストの進化」とは、すぐにできる政策と、中長期的政策を整理するべきということだ。

政界再編のキーマンとして注目されるが、「民主党から出ていく人が今いれば、政権交代の期待への背信行為」ときっぱり否定。一度は挫折を味わったニューリーダーだが、正論を説く率直さに変わりはなかった。

ゲスト / Guest

  • 前原誠司 / Seiji Maehara

    日本 / Japan

    民主党副代表 / Vice President, The Democratic Party of Japan (DPJ)

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