2008年07月24日 00:00 〜 00:00
本田勝彦・年金業務・組織再生会議座長

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会見リポート

処分者の扱い─残る課題

太田 啓之 (朝日新聞生活グループ)

社会保険庁の後継となる民間組織「日本年金機構」のあり方を検討する上で、要の役割を期待されたのが有識者からなる「年金業務・組織再生会議」だった。その座長を務めた本田氏は、「年金機構の役割、使命は極めて重要。職員が意欲や使命感をもって働けるようにする環境づくりが大切だ」という考えを強調しつつ、6月30日にとりまとめた最終案を説明した。

昨年夏からの33回に及ぶ議論の中で、再生会議は社保庁案に繰り返し修正を求めた。年金の窓口相談業務などの仕事も外部委託することになり、設立時の正規職員数も、社保庁案の1万2490人から1万880人程度まで削減された。

だが、懲戒処分を受けた職員の扱いについては、最終案公表後に波乱があった。再生会議は「採用時はすべて有期雇用とする」としたが、自民党は「処分を受けた職員は一切採用するべきではない」と主張。閣議決定された基本計画は自民党案に沿った内容となり、再生会議の意向は反映されなかった。

この日の質問もその点に集中したが、本田氏は「処分者の扱いにマスコミも政治も関心が行き過ぎている」と批判。「重要なのはこれまでの社保庁の組織体質、労使関係を直すこと。その点については再生会議の結論を最大限尊重してもらっていると思う」とし、政府・与党に対する正面からの批判は避けた。

一方で、「個人的な見解」と断りつつ「すべての処分者を採用しないのは残念。更正した人はがんばる余地を残してもよいのでは」とした。

今回の混乱は、政策決定の過程で常用される「有識者会議」の判断を政治がどこまで尊重するべきかを巡り、今後に課題を残したと言える。

ゲスト / Guest

  • 本田勝彦 / Katsuhiko HONDA

    日本 / Japan

    年金業務・組織再生会議座長 / Chairman, Annual business meeting regeneration

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