2008年07月01日 00:00 〜 00:00
潘基文・国連事務総長

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会見リポート

訪朝は適切な時期とだけ

水野 孝昭 (朝日新聞論説委員)

昨年1月の就任以来、初めて訪日した国連の潘基文・事務総長は「温暖化によって誰もが被害者となる。洞爺湖サミットでは、各国が結束する必要がある」と記者会見で訴えた。

ポスト京都議定書の温暖化防止の枠組みづくりは、潘氏が最も力を入れているテーマの一つだ。

韓国の外交通商相からの転身だから、日本という国を熟知している。福田首相の提唱する「低炭素社会」について「非常に評価している」と称賛し、「タイキョクカン(大局観)」と日本語も引用した。

日本の国連PKOへの参加については、福田首相との会談でスーダンPKOの司令部要員として自衛官派遣を取りつけた。潘氏は歓迎しつつ、「今後、(輸送など)専門的な分野で自衛隊の貢献に期待している」と参加拡大への注文をつけるのも忘れなかった。

焦点となった北朝鮮の核問題にも精通している。「北朝鮮が核施設の申告を行い、冷却塔を破壊したのは進展だ」と述べ、この機会に韓国との間で南北和解を進める必要性を強調した。

日本人拉致問題については、北朝鮮が再調査の意向を示していることを指摘して、「解決に向けて、日朝両国が対話を進めてほしい。私もできる限りの努力をする」と述べた。その一方で、「北朝鮮は深刻な食糧不足に直面している」として、日本からの食糧支援も促した。

潘事務総長の北朝鮮への訪問は実現するのか。6者協議の進展を占う点からも注目される。記者会見で「訪朝についても検討している」と意欲を示したが、「適切な時期に」と繰り返すだけだった。

ゲスト / Guest

  • 潘基文 / Ban Ki-moon

    国際連合 / UN

    事務総長 / Secretary General

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