2008年06月25日 00:00 〜 00:00
加藤良三・前駐米大使

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会見詳録


会見リポート

アドレナリンの走る日本に

会田 弘継 (共同通信編集委員)

アドレナリンの走る日本であってほしい─。戦後最長6年半の任期を終えて帰国した加藤良三前駐米大使を迎えての昼食会。加藤さんのメッセージは要するにこれだった。プロ野球新コミッショナーとして球界に向けたメッセージであるかのようにも聞こえた。

外務省きっての米国通にしてエース。その加藤さんの見立てでは、「戦略なき日本」という批判はあるが、世界第2の経済大国としての地位を築き、国際世論調査では好感度でトップクラスといわれるまでになった日本には、隠れた戦略があったともいえる。

だが「これからもそれでいいのか」。日本はいまや、そのそぶりをみて他国が去就を決めるような「見られる存在」になったのだそうだ。だから、かりそめにも「ノーリスク、ハイリターン」を狙うような挙に出れば、世界から受けている尊敬を台無しにしかねない。

明示的な戦略を持って能動的に世界にかかわってほしい。それが加藤さんの言う「アドレナリンの走る」の意味だ。笑顔を絶やさぬ柔らかい表情と口調ながら、スピーチも質疑応答もほぼ硬派一点張り。時にメディアへの厳しい注文もあった。

駐米大使時代を含め外務省幹部としての発言は超がつくほど慎重。ニュースは出ないと「記者泣かせ」だったが、外交官を終えて少し気が楽になったのか、米要人との会見では「野球の話20分、仕事の話10分の時もあった」と打ち明け話も。それで次の会見機会を得ることができたから、通算では勝ちだったそうだ。

新コミッショナーとしての抱負となると「これから勉強」と極めて慎重。新ポストでも「記者泣かせ」が続きそうな気配がうかがわれた。

ゲスト / Guest

  • 加藤良三 / Ryozo kato

    日本 / Japan

    前駐米大使 / Former Japanese Ambassador to the United States

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