2008年06月11日 00:00 〜 00:00
ケビン・ラッド・オーストラリア首相

申し込み締め切り


会見リポート

中国語自在の西側首脳

中井 良則 (毎日新聞論説副委員長)

中国語を自在に話すただ一人の西側首脳だ。首相就任後、最初の訪問国に選んだのも中国だった。となると、中国と日本をどう比べ、どちらを重視しているのか知りたくなる。

そこで「日本政府は中国へのカウンターバランスとしてオーストラリアとの関係強化を図っているだけではないか」と質問してみた。ところが答えには「チャイナ」がひとことも含まれていない。あれれ、である。日中を比較する質問はほかにも2つ出たが、いずれも中国について正面から説明しなかった。

「中国についてのこれまでの質問にまだ答えていないが」と、このテーマで4人目の問いに対し「三カ国のそれぞれの二国間関係が平和な形で進むのが地域の安定につながる」と、差し障りのない返事がようやく返ってきた。

日本人に向かって中国をほめると日本人は傷つくだろう、という配慮もあるのだろうか。日本と中国をどのように比較すれば日本人は納得するのか、明らかにその間合いを計りかねている。第三者からみれば、日中は東アジアでひたすら競い合っているように見えるのかもしれない。オーストラリアの鏡に映った日本と中国の像を、少しだけ、のぞき見た会見だった。

最初に訪れたのは広島だ。広島を訪れた数少ない首脳である。あまり報道されなかったのが残念だが、京都大学での講演では「核不拡散・軍縮に関する国際委員会」の設立を提案した。2010年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、核軍縮にはずみをつけるねらいだ。これは被爆国日本が先導すべきテーマだ。日本も共同議長国としてラッド構想を推進できないだろうか。

ゲスト / Guest

  • ケビン・ラッド / Kevin Michael Rudd

    オーストラリア / Australia

    首相 / Prime Minister

ページのTOPへ