2008年06月09日 00:00 〜 00:00
福田康夫・首相

会見メモ


会見リポート

洞爺湖サミットへ強い決意

恵村順一郎 (朝日新聞論説委員)

7月の北海道洞爺湖サミットまで残すところ1カ月。主要議題となる地球温暖化対策をめぐって、福田首相が「『低炭素社会・日本』をめざして」と題して会見した。

注目された排出量取引について、今秋に「国内統合市場の試行的実施を開始する」と表明。温室効果ガス削減の中期目標については数値は示さなかったが、「来年のしかるべき時期に発表したい」と述べた。

さらに、今秋の税制抜本改革では「環境税の取り扱いを含め、低炭素促進の観点から、税制のグリーン化を進める」と踏み込んだ。

サミット議長国として、数値目標をどのタイミングで明らかにするかなど微妙な判断もあるのだろう。あいまいな部分は残ったものの、約40分に及ぶ演説からはサミット成功に向けた強い決意が伝わってきた。

「200年後の子孫たちが、我々の努力を『低炭素革命』と誇らしく振り返れるものにしなければならない」。その問題意識に共感する。

とはいえ、政権は内閣支持率が20%前後という危機的な状況にある。会場から「政権の力が弱いなかで、どう指導力を発揮するのか」と厳しい質問が出たのも当然だろう。

首相はこう返した。「政治のリーダーシップは必要でしょ。でも、やらないといけない。だからやるんです。日本が将来どうなるか、ということを考えないといけない」

排出量取引には電力・鉄鋼など財界の主要企業が反対する一方、民主党は行程を具体的に盛り込んだ法案を国会に提出している。この「福田ビジョン」をどう具体化し、肉付けし、実行に移していくか。その前途が険しいことは言うまでもない。


ゲスト / Guest

  • 福田康夫 / Yasuo Fukuda

    日本 / Japan

    首相 / Prime Minister

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