2008年06月30日 00:00 〜 00:00
中川秀直・元自民党幹事長

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会見リポート

「天命」に意欲?

中静敬一郎 (産経新聞論説副委員長)

「天命民意」。この日の会見で中川氏がこう揮毫したことがすべてを言い尽くしているような気がしてならない。言葉の意味は、民意を天命と信ずるといったところだろうが、真意のほどは、国民の意によるにせよ、政権を担う用意あり、だろう。「天命」に意欲が強くにじみでている。

もちろん、政権への意欲と受け取られそうな言い回しは避けていた。「ポスト福田は福田です。それ以外にない。一生懸命支えます」と強調し、自らの勉強会が町村派内で「派中派」と論じられていることについても「亀裂も危機もまったくないと断言します」と否定していた。

最高顧問の森喜朗元首相が中川氏に苦言を呈している以上、慎重にならざるを得ないのだろう。一方で自らが目指す政治のかたちをしきりに訴えていた。

もっとも強調していたのは、「ニュー・レバー」(新しい労働党)を掲げたブレア元英首相を引用しての「第三の道」だ。この路線は「旧式の社会民主主義とサッチャー流の新自由主義という二つの道を超克する道」といわれている。中川氏も「分配、効率という二元対立を超えることが必要」と説明したうえで、「人間力」「能力開発」などを日本版「第三の道」として提起した。

さらに「ブレア流のビジョンが正しいと思うなら、力を合わせよう」と語り、民主党などとの連携の必要性を強調していた。ただ、「第三の道」路線で一体、何をしようとするのか、いかなる国家ビジョンを打ち出そうというのか、はよくみえない。そこを明確にして、初めて求心力は高まるのだろう。そのためにも、やはり具体的な行動をいかに示すか。「天命」はきっと、あまり待ってはくれないのだから。

ゲスト / Guest

  • 中川秀直 / Hidenao Nakagawa

    日本 / Japan

    元自民党幹事長 / Former Secretary‐General of the Liberal‐Democratic Party

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