2008年06月16日 00:00 〜 00:00
石原慎太郎・東京都知事

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会見リポート

環境は饒舌、新銀行は寡言

中西 晴史 (日本経済新聞編集委員)

北海道洞爺湖サミットを翌月に、都の二酸化炭素(CO2)排出削減を義務付ける改正条例成立を翌週に控えての会見。自身も「花粉症が治らなくて」と、のどの不調を訴えての話の中心は環境問題だった。
一秒間に体育館32棟分のCO2が堆積し、テニスコート20面分の天然林が地球上から消滅している。こんな数字をあげた書物「一秒の世界」や英国の著名な物理学者、ホーキング博士の発言などを紹介しながら、「今後5年で相当なことをしないと、地球の限界を超える」と力説した。

「日本経団連なんかも環境問題に対してリラクタント」だったが、御手洗冨士夫会長が積極姿勢に転換。ただ、その理由が「世界の趨勢に合わせて考えなければいけないなんて言うのは見識を疑う。日本にとって致命的な問題なのに情けない」とばっさり。

そして国立感染症研究所の部長から聞いた話として新型インフルエンザの恐怖にも言及。「昔、スペイン風邪で多数の人が亡くなり、死体の処理ができず氷河に捨てたところもあった。温暖化で氷が溶けて死体が出てきて調べると、水鳥が運んだウイルスであることがわかった。当時のウイルスは肺と腸だけ汚染する弱毒型に対し、今、同じ水鳥が運ぶウイルスは内臓全部に感染する強毒型」と指摘。ワクチンを確保しないと、「日本の経済も麻痺する。国がやらないなら東京は独自で確保する」と力を込めた。

環境問題への歯切れのよさとは裏腹に、増減資に追い込まれた新銀行東京の経営責任はあくまで旧経営陣にありという発言は説得力に欠けた。都民の支持が今ひとつで盛り上がりに欠ける東京五輪誘致も、せっかくなら環境問題とかかわらせて語ってもらいたかった。

ゲスト / Guest

  • 石原慎太郎 / Shintaro Ishihara

    日本 / Japan

    東京都知事 / Governor of Tokyo

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